Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング『リバタリアンとトンデモ医療が反ワクチンで手を結ぶ話:コロナ禍に向かうアメリカ、医療の自由の最果ての旅』原書房

タイトル(だけ)につられて読んでみようと思った私が悪うございました。 いや,タイトルだけ見たら,なにか今日的で普遍的な現象とか課題とかが書かれているもんだと思ったんだけど,実際は過去の個別の人物の物語だったという。 リバタリアンとトンデモ医…

マルチェッロ・マッスィミーニ, ジュリオ・トノーニ『意識はいつ生まれるのか:脳の謎に挑む統合情報理論』亜紀書房

いろんな意味でユニーク。「中央の章を挟んで云々」はさておき,「医学生が実際に脳を触った」という実体験がベースにあってその事実に根ざしているのもそうだし,「意識を〇〇と定義して,実物の脳がその理論に合致してるかどうかを検証している」という点…

坂本尚志『バカロレアの哲学:「思考の型」で自ら考え、書く』日本実業出版社

バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く作者:坂本尚志日本実業出版社Amazon プロローグ バカロレアの哲学試験は「自由な思考」ができるかどうかを見る試験ではありません。 実際にバカロレア試験が試すのは,「思考の型」がマスターされているかどう…

Bent Flyvbjerg, Dan Gardner『How Big Things Get Done: The Surprising Factors Behind Every Successful Project, from Home Renovations to Space』Macmillan

How Big Things Get Done: The Surprising Factors That Determine the Fate of Every Project, from Home Renovations to Space Exploration and Everything In Between (English Edition)作者:Flyvbjerg, Bent,Gardner, DanCrown CurrencyAmazon ソフトウ…

フラン・ボッシュ『コンテクスチュアルトレーニング:運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション』大修館書店

コンテクスチュアルトレーニングー運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション作者:フラン・ボッシュ大修館書店Amazon 帯に小平奈緒が載っていたから興味をもって読んでみたものの,半可通の素人が手を出すべきものではなかった……。 78…

河森直紀『競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方』ナップ

競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方作者:河森 直紀ナップAmazon 〈練習〉と〈トレーニング〉とを混同するなって話で,特に著者が〈誤った競技特異的トレーニング〉と呼ぶもの――つまり練習に近づけたトレーニングあるいはトレーニングに近づけた…

ヘルムス, バルデス, モーガン, 八百『肉体改造のピラミッド 栄養編』AthleteBody

肉体改造のピラミッド 栄養編作者:Eric Helms,Andy Morgan,八百 健吾AthleteBody株式会社Amazon はじめに ウェイトトレーニングを通して筋力や筋量を伸ばし,体力強化,体組織改善,健康増進などを目指すとき,栄養は避けては通れないテーマになります。 特…

鈴木宏昭『私たちはどう学んでいるのか:創発から見る認知の変化』筑摩書房(ちくまプリマー新書)

表面をひっかく程度の記述しかないが,新書という形式上しょうがない。そのかわり,各章末に参考文献が紹介されている。 〈練習による上達〉と〈発達〉と〈ひらめき〉とが,同じメカニズムで捉えられているのが興味深い。 私たちはどう学んでいるのか ――創発…

Hank Haney『The Big Miss: My Years Coaching Tiger Woods』

The Big Miss: My Years Coaching Tiger Woods (English Edition)作者:Haney, Hank D.Crown ArchetypeAmazon 1. The Last Time Although it's commonly thought that Tiger plays go-for-broke golf and tries the most difficult shots with no fear, it's …

リチャード・A・シュミット『運動学習とパフォーマンス:理論から実践へ』大修館書店

運動学習とパフォーマンス―理論から実践へ作者:リチャード・A. シュミット大修館書店Amazon 第1章 運動パフォーマンスと学習への入門 スキルに関する知識の応用 スキルの定義 スキルの多くの要素 スキルの分類 パフォーマンスと学習の理解 第I部 人間の熟練…

近藤直樹, カパッソ・カロリーナ『らくらくイタリア語文法+会話:本気で学習する人の参考書』国際語学社

らくらくイタリア語文法+会話 (CDブック)作者:直樹, 近藤,カロリーナ,カパッソ国際語学社Amazon 本書は,はじめてイタリア語を学ぶ人を対象にしていますが,難易度の高い文法項目まで扱っていた,最後まで丁寧に学習していけば,一通りの会話はもちろんのこ…

武田好『NHK出版これならわかるイタリア語文法:入門から上級まで』NHK出版

NHK出版 これならわかるイタリア語文法 入門から上級まで作者:武田 好NHK出版Amazon 本書は,ひととおり読めばイタリア語文法が身につけられることをめざして執筆の作業が始まりました。イタリアごを学習する過程で抱く疑問点や質問事項を念頭に置いて説明文…

佐藤德和, 北野美絵子ジュリア『使えるイタリア語単語3700』ベレ出版

使えるイタリア語単語3700 MP3 CD-ROM付き作者:徳和, 佐藤,美絵子ジュリア, 北野ベレ出版Amazon イタリア語を「話す」「書く」「読む」ツールとして使いこなすための実用性と,実用イタリア語検定準2級まで対応という両面を兼ね備えたイタリア語単語集。 初…

小林惺『イタリア語文法ハンドブック』白水社

イタリア語文法ハンドブック作者:小林 惺白水社Amazon イタリア語の文法について幅広くかつコンパクトにまとめた本。ざっと眺めた限りでは,初学者向きではない。CDなどはない。 『イタリア語のABC』と内容はほぼ被るが,一部ではこちらにしかない内容もある…

下条信輔『サブリミナル・マインド:潜在的人間観のゆくえ』中央公論社(中公新書)

サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ (中公新書)作者:下條信輔中央公論新社Amazon 現代の心理学のセントラルドグマ(中心教義)「人間は自分で思っているほど,自分の心の動きをわかってはいない」 心の動き=知覚 情動 行動の本当の理由 本当とは…

高田明典『難解な本を読む技術』光文社(光文社新書)

難解な本を読む技術 (光文社新書)作者:高田 明典光文社Amazon ここでいう〈難解な本〉とは現代思想の翻訳本――デリダとかドゥルーズとかガタリとかそういうやつ――であって,本書はそのエッセンスの入った離乳食を与えてくれるもののではなく,あくまでそれら…

アダム・クチャルスキー『感染の法則:ウイルス伝染から金融危機、ネットミームの拡散まで』草思社

感染の法則:ウイルス伝染から金融危機、ネットミームの拡散まで作者:アダム・クチャルスキー草思社Amazon 興味深い内容――〈感染〉をキーワードにさまざまなジャンルを横断する――だし,信頼感のある記述――コロナ前に書き始められた(コロナに便乗してない)…

ベティ・エドワーズ『脳の右側で描け:決定版』河出書房新社

決定版 脳の右側で描け作者:ベティ・エドワーズ河出書房新社Amazon なにかの本の中で本書が紹介されていて,そこで受講者のレッスンを受ける前と受けた後の自画像が並べて掲載されていたんだけど,それがとにかく説得力があった。レッスンを受ける前のは本当…

A.R.ルリヤ『偉大な記憶力の物語:ある記憶術者の精神生活』岩波書店(岩波現代文庫)

偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)作者:A.R.ルリヤ岩波書店Amazon 面白いは面白いんだけど……「だから何?」という感覚はどこまでもついてまわる。 141.34 : 普通心理学.心理各論 偉大な記憶力の物語 : ある記憶術者の精神生活 (岩…

佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ』岩波書店(岩波科学ライブラリー)

宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ (岩波科学ライブラリー)作者:佐藤 俊哉岩波書店Amazon Twitterでこの本の存在をたまたま知ったけど,非常に幸運だった。内容はコンパクトで例もシンプルでありながら,医療統計がどんなものかというエッセンスがしっかりと…

Martin Gardner『ガードナー傑作選集:ゲーム、パズル、マジックで知る娯楽数学の世界:楽しみながら知性の鍛錬』森北出版

楽しみながら知性の鍛錬 ガードナー傑作選集 - ゲーム,パズル,マジックで知る娯楽数学の世界作者:Martin Gardner森北出版Amazon 〈娯楽数学〉を謳うにはレベルが高いなと思うというか,これを〈娯楽〉として楽しめるだけの知性は自分にはありませんって話な…

イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』森北出版

数学はなぜ哲学の問題になるのか作者:イアン・ハッキング森北出版Amazon ざっと眺めてみたけれど,自分にとってはどうでもいい本だった。訳者のひとりが〈訳者あとがき〉で,本書に対するいくつかの書評――「その評価は思ったほど芳しいものではない」と認め…

竹山美宏『定理のつくりかた』森北出版

定理のつくりかた作者:竹山 美宏森北出版Amazon 本書は高校生を対象にした公開講座の内容をもとにしているだけに,数学的な内容は初等幾何・初等整数論に留まっており,そういう意味では物足りなさがある。意欲的な高校生が大学入試に向けてしっかりとした記…

デイヴィッド・エプスタイン『スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?:アスリートの科学』早川書房

スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?──アスリートの科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者:デイヴィッド エプスタイン早川書房Amazon 後半はタイトルから想像されるような話(ケニアに長距離ランナーが多いとか,ジャマイカにはスプリンターが多いとか)。…

谷本道哉 編著・石井直方 監修『スポーツ科学の教科書:強くなる・うまくなる近道』岩波書店(岩波ジュニア新書)

スポーツ科学の教科書――強くなる・うまくなる近道 (岩波ジュニア新書)作者:谷本 道哉岩波書店Amazon コンパクトでありながら,そしてジュニア新書でありながら,中身の詰まった本であった。内容は運動生理学・解剖機能学・スポーツバイオメカニクス・トレー…

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論作者:デヴィッド グレーバー岩波書店Amazon 図書館で人気のようだったので借りてみたけど,これそんなに多くの人にハマる本か? この本自体がブルシットだとは言わないし,刺激的なタイトルはたしかにキャッチ…

佐藤智恵『外資系の流儀』新潮社(新潮新書)

外資系の流儀(新潮新書)作者:佐藤智恵新潮社Amazon 10年前の本だけど,さすがに10年前であっても〈外資系企業〉はもっと多様化していただろうというか,こんなベタな〈外資系〉ってどれぐらいあるんですか,って感じ。 335.47 外資系の流儀 (新潮社): 2012…

ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』日本放送出版協会

人類が知っていることすべての短い歴史(上)(新潮文庫)作者:ビル・ブライソン新潮社Amazon 人類が知っていることすべての短い歴史(下)(新潮文庫)作者:ビル・ブライソン新潮社Amazon 人類が知っていることすべての短い歴史作者:ビル ブライソン日本放…

宮本雅行『はじめてのアラビア語』講談社(講談社現代新書)

はじめてのアラビア語 (講談社現代新書)作者:宮本雅行講談社Amazon 新書っていう形式で外国語の入門書を書くのは難しいですよね……。特にアラビア語のように,いろんな意味で馴染みの薄い言語であれば。フレーズから文字から文法から,基本的なことはひととお…

マイケル・ポランニー『暗黙知の次元』筑摩書房(ちくま学芸文庫)

暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)作者:マイケル ポランニー筑摩書房Amazon 概念的な話が延々とつづくんだけど,ポランニーに興味を持ってない自分が読むべき本ではなかった。 いちばん面白かったのは,冒頭のここ: 私が哲学の諸問題に目覚めるきっかけになっ…