Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

数学入門公開講座(第36回)|京都大学数理解析研究所

今年もやってまいりました,京大RIMSの数学入門公開講座です。

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/kouza/

1. 趣 旨
数学はあらゆる科学の基礎をなすものです。今回の講座では、社会人、 中・高校教師、大学生等ある程度数学的素養のある一般の方を対象に、 専門的題材をわかりやすく解説しようとするものです。

2. 期 間
平成26年8月4日(月)から8月7日(木)まで
(8月8日(金)に、各講師に自由に質問・討論できるオフィスアワーを設けました)

3. 時 間
毎日午前10時30分から午後4時まで

4. 場 所
京都大学数理解析研究所 4階大講演室

5. 定 員
120名(先着順)

6. 受講料
4,500円
(テキスト代を含め全講義を通しての受講料で消費税を含みます。 受講決定通知後に受講料を納入願います。 一旦納められた受講料は、理由のいかんを問わず、一切お返しできません。 振込手数料は別途受講者負担とします。)

演題及び講師は,こんな感じ。

乗法的情報による加法構造の復元|講師・星 裕一郎
数や式に対するもっとも基本的な操作として、「加法(=足し算)」と「乗法(=掛け算)」があります。この加法・乗法という2つの操作は、非常に複雑に絡み合っており、例えば整数に関わる様々な問題の難しさは、ある意味において、この複雑な絡み合いに起因していると考えられます。一方、この絡み合いの1つの表れとして、数や式の適当な集まりに対して、そこで定義される加法を、その乗法的な情報によって記述・復元することができる場合があります。本講義では、そのようなタイプの数学的命題について、お話をしようと思います。

ビリヤードからシンプレクティック・トポロジー助教・入江 慶
解析力学のハミルトンによる定式化では、位置と運動量を組にして相空間というものを考えます。相空間の幾何、特にその大域的な性質を調べる分野をシンプレクティック・トポロジーといって、近年盛んに研究されています。ハミルトン力学系の周期軌道の研究はその起源のひとつで、現在でもこの分野の重要な主題です。講演の前半では、例としてビリヤード球の運動における周期軌道について考察し、バーコフによる古典的な定理を紹介します。この定理にはすでにシンプレクティック・トポロジーの一端が表れており、後半はそれを手掛かりに、より現代的な話題に進みたいと思います。

楽して計算するには -アルゴリズムの設計と解析|准教授・牧野 和久
近年の情報化社会において、高速なアルゴリズムを設計することは極めて重要である。しかしながら、P vs NP問題に代表されるように、与えられた問題が効率的に解けるができるかどうかは、容易には分からない現状にある。本講義では、計算可能性,P,NPなどの計算量理論の基礎的な概念を説明すると同時に、高速アルゴリズム設計の意義や重要性を応用などを交えて議論する。その後、分割統治法や動的計画法などの高速なアルゴリズム設計のための手法およびその解析法を具体的な問題を用いて紹介する。それ以外にも、NP困難な問題に対する最適化の手法を用いた近似アルゴリズムの設計法も議論する。