Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』日経BP社(Nikkei BP classics)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (日経BPクラシックス)作者:マックス・ウェーバー日経BPAmazon 他の古典――たとえば『種の起源』とか――に比べれば遥かに「読める」。のだけれど,ウェーバーの記述は冗長であり洗練されているとはいいがたく,全体…

D・カーネギー『人を動かす』創元社

人を動かす 文庫版作者:D・カーネギー創元社Amazon とにかく読み物として面白い。エピソードが満載なのだが,それもそのはず,「彼は,新聞,雑誌,裁判記録をはじめ,心理学書,哲学書,その他,人間関係の問題に関連のある書物を片っ端から調べ上げ,助手…

トクヴィル『アメリカにおけるデモクラシーについて』中央公論新社(中公クラシックス)

アメリカにおけるデモクラシーについて (中公クラシックス)作者:トクヴィル中央公論新社Amazon 本書を開いて初めて分かったけれど,これはトクヴィルの原書の一部――「序」および第二部の第六章から第九章まで――を訳したにすぎないんだな。全訳は岩波文庫から…

本條強『中部銀次郎 ゴルフの要諦』日本経済新聞出版社(日経ビジネス人文庫)

中部銀次郎 ゴルフの要諦 伝説のゴルファーに学ぶゴルフの大原則 (日経ビジネス人文庫)作者:本條 強日本経済新聞出版社Amazon 確かに中部銀次郎の幼少期とか,「2回戦ボーイ」だった中部がいかにしてマッチプレーに強くなるかといったプロセスは面白いものは…

深井智朗『プロテスタンティズム:宗教改革から現代政治まで』中央公論新社(中公新書)

プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)作者:深井 智朗中央公論新社Amazon 本書を読むのは2回目だ。再び読もうと思ったのは,カート・アンダーセン『ファンタジーランド』*1の影響だと思う――そこではアメリカを創ったプロテスタントが…

チャールズ・ダーウィン『種の起原』朝倉書店

種の起原 (原書第6版)作者:チャールズ・ダーウィン朝倉書店Amazon いつかは原典にあたりたいと思って読んでみたけど,すいません,気持ちが続きませんでした。2段組で500ページ近い濃密な紙面。それでいて図がひとつしか登場しないというのが,時代の違い…

ミーナ・ラグナータン, ハーシャ・ナガラジュ『だれがいちばんえらいの?』ワールドライブラリー

話が長い。教条的。リベラル臭。 726.6 だれがいちばんえらいの? (ワールドライブラリー): 2016|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

橋本陽介『物語論 基礎と応用』講談社(講談社選書メチエ)

物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)作者:橋本陽介講談社Amazon これまでに読んだこの手の本の中では,いちばん良かった。前半は理論編で,フランス構造主義時代の物語論を紹介。後半は分析編で,具体的な小説や漫画や映画の「おもしろさ」のポイントを分…

新井紀子『コンピュータが仕事を奪う』日本経済新聞出版社

コンピュータが仕事を奪う作者:新井 紀子日本経済新聞出版Amazon 扇動的なタイトルなのに中身は抽象的な議論が続いて,肩透かしを受けた人も多かっただろうなと思う。 コンピュータとは何かという話,コンピュータで出来ることと出来ないことは何かという話…

大塚和徳『ゴルフ時空間ツアー:スコットランド・イングランド・アメリカ・日本の草創期のコースと天才たち』ゴルフダイジェスト社(CHOICE選書)

ゴルフ時空間ツアー (Choice選書)作者:大塚 和徳ゴルフダイジェスト社Amazon 「時空間ツアー」ってなんのこっちゃと思ったら,要するに「昔話」。もともと『Choice』誌に連載されていた「痛快!ゴルフ史」を再編集して書籍化したようだが,だったらタイトル…

君塚直隆『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』新潮社(新潮選書)

立憲君主制の現在: 日本人は「象徴天皇」を維持できるか (新潮選書)作者:君塚 直隆新潮社Amazon 『社会はどう進化するのか』*1の訳者あとがきで訳者がこの本を紹介していた。「棚から牡丹餅」な良書だった。 本書は「イギリスで徐々に立憲君主制が形作られて…

ジェフリー・フェファー『人材を活かす企業:「人材」と「利益」の方程式』翔泳社(Harvard business school press)

人材を活かす企業 (Harvard Business School Press)作者:ジェフリー・フェファー翔泳社Amazon 「従業員を大事にする企業は成長する」ということを,さまざまなデータやケースを用いて示していく。真面目な学術書であり,遊びの要素はない。 具体的な話として…

羽毛田睦土『いちばんやさしいExcelピボットテーブルの教本 : 人気講師が教えるデータ集計が一瞬で終わる方法』

いちばんやさしいExcelピボットテーブルの教本 人気講師が教えるデータ集計 が一瞬で終わる方法 (「いちばんやさしい教本」シリーズ)作者:羽毛田睦土インプレスAmazon Excelのピボットテーブルなんてなんとなく使っていたけど,こうやって基本的な使い方を改…

Tom Doak『ゴルフコースを解剖する:設計の技術とコース攻略法』ソフトサイエンス社

Amazonにデータがないんだけど…『The Anatomy of a Golf Course』が翻訳されていたの,知らなかった。 翻訳について 「ゴルフに関して全く門外漢である」という訳者(籏野充子)による訳は,全体的に頑張っているけれど,ところどころで間違いがある。「無類…

Nicholas B.Davies, John R.Krebs, Stuart A.West『デイビス・クレブス・ウェスト行動生態学』共立出版

デイビス・クレブス・ウェスト 行動生態学 原著第4版作者:N.B.Davies,J.R.Krebs,S.A.West共立出版Amazon たしかにこれはすごい本だ。このテーマに関することならなんでもこの本に書かれているだろうと思わせる,包括的で決定的な教科書だ。 Tinbergenの4つの…

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史:文明の構造と人類の幸福』河出書房新社

サピエンス全史(下) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福作者:ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房新社Amazon サピエンス全史(上) 試し読み増量版 文明の構造と人類の幸福作者:ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房新社Amazon サピエン…

川田太三『スゴい!ゴルフコース品定め。:スコアじゃなく、コースに挑もうじゃないか』ゴルフダイジェスト社(CHOICE選書)

スゴい!ゴルフコース品定め。 (Choice選書)作者:川田太三ゴルフダイジェスト社Amazon 雑誌連載を再編しただけあって,記述が散発的で表層的。似たような内容が複数個所に出てきたりして,盛り下がる。パー3ホールを「ショート(ホール)」と呼んでいるのはど…

春名幹男『ロッキード疑獄:角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』KADOKAWA

ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス (角川書店単行本)作者:春名 幹男KADOKAWAAmazon 力作。長期間に及ぶ丹念な取材・資料の読みこみによって,ロッキード事件の「真相」に近いところをできるだけ解き明かしていく。惜しいのは,改行の多い文章と,たまに挟…

都市建築TOKYO編集委員会『都市建築TOKYO:超高層のあけぼのから都市再生前夜まで』鹿島出版会

都市建築TOKYO――超高層のあけぼのから都市再生前夜まで作者:都市建築TOKYO編集委員会鹿島出版会Amazon 面白そうだなと思って手にとってみたけれど,なんだかよく分からない。いや,その界隈の人にすれば大層価値のある書物なのかもしれないが,門外漢にとっ…

シヴァ・ヴァイディアナサン『グーグル化の見えざる代償:ウェブ・書籍・知識・記憶の変容』インプレスジャパン(インプレス選書)

グーグル化の見えざる代償 ウェブ・書籍・知識・記憶の変容 (インプレス選書)作者:シヴァ・ヴァイディアナサンインプレスAmazon そもそも10年以上前に出された本をいま読む意味はどこにあるのか――ただでさえ進化のスピードの速いテクノロジーの分野に関する…

デイヴィッド・スローン・ウィルソン『社会はどう進化するのか:進化生物学が拓く新しい世界観』亜紀書房

社会はどう進化するのか——進化生物学が拓く新しい世界観作者:デイヴィッド・スローン・ウィルソン亜紀書房Amazon 非常に示唆的な本であった。 ざっくり言えば,マルチレベル選択――グループ内では利己的行動が生存戦略的に有利だが,グループ間では利他的行動…