Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

君塚直隆『エリザベス女王:史上最長・最強のイギリス君主』中央公論新社(中公新書)

エリザベス女王 史上最長・最強のイギリス君主 (中公新書)作者:君塚直隆中央公論新社Amazon Twitterで〈女王陛下〉として生息している君塚先生である。君塚さんの著作は,ここでもかつて『立憲君主制の現在』について書いている*1し,それと本書とを併せて読…

ビル・ブライソン『人体大全:なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』新潮社

人体大全―なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか―作者:ビル・ブライソン新潮社Amazon めっちゃ面白いですね,これ。図書館で人気なのもよく分かるわ。人体についてのありとあらゆることが書かれている。事実と歴史とが膨大に詰め込まれてい…

広瀬佳一『ヨーロッパ分断1943:大国の思惑、小国の構想』中央公論社(中公新書)

ヨーロッパ分断1943―大国の思惑、小国の構想 (中公新書)作者:広瀬 佳一中央公論社Amazon かつてポーランドとチェコスロヴァキアとが連邦/連合を組もうとしていたけれど,日英ソの思惑に振り回されてそれが実現することはなかった,という話。 それ自体は興…

千葉雅也『現代思想入門』講談社(講談社現代新書)

現代思想入門 (講談社現代新書)作者:千葉雅也講談社Amazon ここで言う「現代思想」とは,一九六〇年代から九〇年代を中心に,主にフランスで展開された「ポスト構造主義」の哲学を指しています。フランスを中心としたものなのですが,日本ではしばしば,それ…

ジョナサン・カラー『文学理論』岩波書店(1冊でわかる)

文学理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)作者:ジョナサン・カラー岩波書店Amazon 文学理論が語られるのより〈理論〉について語られる方が多いという印象。 こういう〈文学理論〉を理解したいという欲はずっと・常にあるのだけど,いい加減あきらめて〈文学〉その…

Alan Shipnuck『Phil: The Rip-Roaring (and Unauthorized!) Biography of Golf's Most Colorful Superstar』Avid Reader Press / Simon & Schuster

Phil: The Rip-Roaring (and Unauthorized!) Biography of Golf's Most Colorful Superstar (English Edition)作者:Shipnuck, AlanAvid Reader Press / Simon & SchusterAmazon ゴルフジャーナリズム界では有名なアラン・シプナックが,PGAツアーでもっとも…

池内恵『サイクス=ピコ協定百年の呪縛:中東大混迷を解く』新潮社(新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)作者:池内 恵新潮社Amazon 池内センセいわく,中東の今の混乱の原因をサイクス=ピコ協定(だけ)に求める単純が言説が流布しているけれど,実際はそんな簡単なもんじゃない,ということで,本…

アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』三笠書房

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍作者:アダム・グラント三笠書房Amazon 冒頭に監訳者の解説みたいな長文が載っていて,フラグ立ってるなって感じ。訳者や解説が本文より目立つ本って碌なのがない。 といいつつ,本書は割…

ダニエル・カーネマン, オリヴィエ・シボニー, キャス・R・サンスティーン『NOISE:組織はなぜ判断を誤るのか? 上』早川書房

NOISE 上 組織はなぜ判断を誤るのか?作者:ダニエル カーネマン,オリヴィエ シボニー,キャス R サンスティーン早川書房Amazon 「人間の判断にはノイズとバイアスがある」ということで,そのノイズに焦点を当てた本。冒頭に例として出てくるのは,裁判…

Mark Rippetoe『スターティングストレングス』医学映像教育センター

スターティングストレングス作者:Mark Rippetoe株式会社医学映像教育センターAmazon Starting Strength (English Edition)作者:Rippetoe, MarkThe Aasgaard CompanyAmazon 原書では第一章の出だしが「Physical strength is the most important thing in life…

トーマス・L・フリードマン『ベイルートからエルサレムへ:NYタイムズ記者の中東報告』朝日新聞社

ベイルートからエルサレムへ―NYタイムズ記者の中東報告作者:トーマス・L. フリードマン朝日新聞Amazon こんどレバノン人を採用するって言ったら韓国人の同僚から勧められたのが,この本。目からウロコが何枚落ちたことか。 イスラエルとレバノンの共通点は,…

ニコラス・ハンフリー『喪失と獲得:進化心理学から見た心と体』紀伊國屋書店

喪失と獲得―進化心理学から見た心と体作者:ニコラス ハンフリー紀伊國屋書店Amazon どうしてこの本を読もうと思ったのか覚えてないし,読んだあともこれが何だったのかよく分からない。進化心理学者が心と体とかについて書いたエッセイを集めたものなんだけ…

リチャード・ニクソン『指導者とは』文藝春秋(文春学藝ライブラリー)

指導者とは (文春学藝ライブラリー)作者:リチャード ニクソン文藝春秋Amazon どうしたことか「ニクソンがビジネスリーダーの資格について書いたもの」という先入観があって,しかし読んでみたら全然違うことが分かり――チャーチルとかドゴールとかマッカーサ…

中村圭志『教養としての宗教入門:基礎から学べる信仰と文化』中央公論新社(中公新書)

教養としての宗教入門 - 基礎から学べる信仰と文化 (中公新書)作者:中村 圭志中央公論新社Amazon 包括的でコンパクト。冷めた視線で宗教を熱く見る。まさにこんな本を読みたかった,という感じ。 本書が想定している読者は,宗教に関心はあるのだが,別に信…

大鹿靖明『金融庁戦記:企業監視官・佐々木清隆の事件簿』講談社

金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿作者:大鹿靖明講談社Amazon まぁこういうお話は〈痛快〉ですよね。〈金融庁戦記〉っていうメインのタイトルはあとづけで,本質は〈佐々木清隆の事件簿〉。この異色の人物に焦点を当てているのだが,著者があとがき…

マルコム・グラッドウェル『天才!成功する人々の法則』講談社

天才! 成功する人々の法則作者:マルコム・グラッドウェル講談社Amazon 〈天才〉についての話だけが出てくるわけではないし,〈成功する人々〉の話だけが出てくるわけでもない。そういう意味でこの邦題は徹頭徹尾ずれているけれど,原題も『Outliers: The Sto…

前田健太郎『市民を雇わない国家:日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版会

市民を雇わない国家: 日本が公務員の少ない国へと至った道作者:前田 健太郎東京大学出版会Amazon 2015年のサントリー学芸賞〔政治・経済部門〕受賞*1で,非常にまっとうな学術書。「博士論文…に大幅な加筆・修正を施したもの」というだけで,どのような本か…

ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス:世界経済の未来を決める三つの道』白水社

グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道作者:ダニ ロドリック白水社Amazon 〈訳者あとがき〉に内容がサマライズされていて,それを読んだら「もういいかな」って気分になった。いわく, 本書の核となるアイデアは,市場は統治な…

アンドレ・ルロア=グーラン『身ぶりと言葉』筑摩書房(ちくま学芸文庫)

身ぶりと言葉 (ちくま学芸文庫)作者:アンドレ ルロワ=グーラン筑摩書房Amazon これもなんでこの本の存在を知ったのか覚えてないんだけど……。要するに進化論の話で,その内容は裏表紙が見事に要約している: 人類の進化の本質とは,突き詰めてみれば何なのか…

J.J.ギブソン『生態学的知覚システム:感性をとらえなおす』東京大学出版会

生態学的知覚システム―感性をとらえなおす作者:ギブソン,ジェームズ・J.,J. J. ギブソン東京大学出版会Amazon ギブソンが〈アフォーダンス〉という語を最初に用いたのがこの本らしいんだけど,「何なんだろう,この本は?」という印象しか持たない。〈完成を…

待鳥聡史『政治改革再考:変貌を遂げた国家の軌跡』新潮社(新潮選書)

政治改革再考―変貌を遂げた国家の軌跡―(新潮選書)作者:待鳥聡史新潮社Amazon どこでこの本の存在を知ったのか覚えていないけれど,同じ著者の『代議制民主主義』は以前読んでいた*1。 この本で〈再考〉している〈政治改革〉とは一九九〇年以降に取り組まれ…

片平毅一郎『Microsoft Power BIの教科書:基本操作からレポート作成までわかる!』秀和システム

基本操作からレポート作成までわかる! Microsoft Power BIの教科書作者:片平毅一郎秀和システムAmazon 〈教科書〉といいつつ二色刷りで紙面が貧相だ。各項目アタマの小芝居みたいな会話編いらないし……。 336.17 Microsoft Power BIの教科書 : 基本操作からレ…

小泉悠『「帝国」ロシアの地政学:「勢力圏」で読むユーラシア戦略』東京堂出版

「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)作者:小泉 悠東京堂出版Amazon ちくま新書の『現代ロシアの軍事戦略』は,著者のオタク的興味関心が詰まったーーそういう意味では好みが分かれるーー本であったのに対して,こちらはしかめつらしい…

アトゥール・ガワンデ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?:重大な局面で"正しい決断"をする方法』晋遊舎

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】作者:アトゥール ガワンデ晋遊舎Amazon 「〈チェックリスト〉をビジネスの世界に応用できるかな?」という邪な気持ちで読んでみたけれど,そういう期待は裏切られ…

アマルティア・セン『アイデンティティと暴力:運命は幻想である』勁草書房

アイデンティティと暴力: 運命は幻想である作者:アマルティア・セン勁草書房Amazon 期待感を抱かせるタイトルなんだけど,本書の主張はそれに尽きる。つまり「単一のアイデンティティに人間を押し込めること(=人間の矮小化)が,国家間とか宗教観の紛争に…

ジャック・チャロナー『ATOM:世界で一番美しい原子事典』SBクリエイティブ

ATOM 世界で一番美しい原子事典作者:ジャック・チャロナーSBクリエイティブAmazon たしかにビジュアルがふんだんに使われてはいるけれど,〈世界で一番美しい〉は言いすぎじゃない? というか,本のタイトルには景表法が適用されないんですね。 429.1 ATOM :…

シャロン・バーチュ・マグレイン『異端の統計学ベイズ』草思社

異端の統計学 ベイズ作者:シャロン・バーチェ・マグレイン草思社Amazon 〈異端の統計学〉ねぇ……。センセーショナルな邦題をつけたかったのかもしれないけど,ちょっと違うと思うんだよな。 原題は "The Theory That Would Not Die: How Bayes' Rule Cracked …

ローレンス・ワインシュタイン, ジョン・A・アダム『フェルミ推定力養成ドリル』草思社(草思社文庫)

文庫 フェルミ推定力養成ドリル (草思社文庫)作者:ワインシュタイン,ローレンス,アダム,ジョン・A.草思社Amazon 自分がコンサルファームの面接を受けているときにこの本が世に存在していたらーーしていたのかもしれないけどーー熟読していたかもしれないし,…

小川豊和『新みんなのカーリング:公益社団法人日本カーリング協会オフィシャルブック』学研教育出版

新 みんなのカーリング学研プラスAmazon 初心者向けのカーリング指南書なんだけど,それ以上に内容がてんこ盛りだった。 なんせ冒頭が「ソチオリンピック特集」。日本代表決定戦から世界最終予選まで,オリンピック出場までの道のりを追うんだけど,その筆圧…

ケネス・ウォルツ『人間・国家・戦争:国際政治の3つのイメージ』勁草書房

人間・国家・戦争: 国際政治の3つのイメージ作者:ケネス ウォルツ勁草書房Amazon 『国際紛争』*1で引用されていたやつ。戦争の原因を〈個人〉〈国家〉〈国際システム〉という3つの〈イメージ〉に体系化して考えようというのを主張したもの。含蓄深い・味わい…