Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

小林標『ラテン語の世界:ローマが残した無限の遺産』中央公論社(中公新書)

最初の数ページ読んだけど,名著の予感しかしない。なぜイギリス王室については「royal」という形容詞だけど,日本の皇室については「imperial」であるべきかという話から,ローマ帝国の王政忌避と共和制についての話とか。

Pig/porkとかox/beefの二重性というのは前者がゲルマン語由来、後者がフランス語由来であって、それぞれ生産する人と食する人との階級とか出自の違いに由来するのもだとか。

面白い本だが,どうも著者の高慢さが鼻につくところが多々あって,要するに「ラテン語すごい」ってのが「ラテン語知ってる俺すごい」に転嫁されている感があって,さらに「ラテン語はフランス語やイタリア語やスペイン語,まして英語なんかより断然優秀」みたいな,そんな他の言語を貶めなくていいでしょ,っていう。

あと,日本語のローマ字表記で長母音の上に線引くやつ、あれラテン語に同じのがある(というかラテン語表記から拝借したのだろう)を知ったので、日本人は堂々と使っていいと思います。