Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

椎名美智『「させていただく」の語用論:人はなぜ使いたくなるのか』ひつじ書房

軽い気持ちで手を出してみたら,ゲップが出るぐらい本気の研究書だった.

この本のエッセンスは以下の記事で十分掴み取れると思うんだけど,

氾濫する「させていただきます」表現、言語学者が解説する“ここまで使われる理由” | 文春オンライン

「させていただく」が乱用される理由(として考えられるもの)として

  • 使い勝手がいい(どんな動詞にもつけられる)
  • 主語はあくまで自分(主語が相手になると敬意が減る)

というのがあって,一方でなんでこの表現に違和感を抱くケースがあるかというと,

  • 「させていただく」は「基本的には,自分側が行うことをア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合」に使われる

のに,状況によってその双方あるいは一方が満たされない条件下で使われるから,だと.

個人的にはこの「させていただく」自体が嫌いで,それが多様されるとほんと気分悪くなるんだけど(そしてそこには「死んでもらいます」に近い不躾さ・傲慢さを感じるんだけど),その捉え方・違和感の懐き方も世代によって異なるとかで,うーむ.

815.8