Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

宇野重規『民主主義とは何か』講談社(講談社現代新書)

(この書影の中の帯,ひでぇな)

Twitterで見かけたので読んでみた。著者が「おわりに」でこう述べてる。

民主主義について過不足のない本を書いてみたい,そう思ってこの本を執筆しました。何か民主主義についての新説を唱えたいわけではありません。〔中略〕民主主義についての押さえておくべき基本を一つひとつ丁寧に確認し,その上で,この民主主義という正体のつかみにくいものを,自分の手でしっかり握りしめたいというのが本書の願いです。

その通りで,「過不足はない」し,「丁寧に」書かれている。そのぶん拍子抜けするというか,「だから何?」という感は否めないし,現実に対する具体的な何かを与えてくれるわけでもない。「どうせこういう本を読むのは一定以上の知性を持つ人間だけであって,そういう人たちが民主主義についていま一度考えを改め/深めてみたところで,何が変わるの?」と疑ってしまう。「それがいいんだ」なのかもしれないし,「それでもいいんだ」なのかもしれないけど。

具体的な収穫としては,気になっていた本をやっぱり読もうと思わせてくれたこと。アリストテレス『政治学』しかり,トクヴィル『アメリカのデモクラシー』しかり,アーレント『全体主義の起源』しかり,ロールズ『正義論』しかり,ピケティしかり。

311.7

民主主義とは何か (講談社): 2020|書誌詳細|国立国会図書館サーチ