Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

大塚和徳『ゴルフ時空間ツアー:スコットランド・イングランド・アメリカ・日本の草創期のコースと天才たち』ゴルフダイジェスト社(CHOICE選書)

「時空間ツアー」ってなんのこっちゃと思ったら,要するに「昔話」。もともと『Choice』誌に連載されていた「痛快!ゴルフ史」を再編集して書籍化したようだが,だったらタイトルはそのままの方が良かったと思う。ただし,何が「痛快」なのかはよく分からないけれど。

人とコースに焦点を当てた昔話。特にゴルフ黎明期のスコットランドとイングランドに多くページが割かれているのは,個人的には嬉しいところ。記述はうまいことまとめられていると思うし,歴史を知るのは面白いし大事だと思うが,難癖をつけるならば,

  1. 昔話が昔話にとどまっていて,現代との繋がりがあまり感じ取れない。つまり,「だから何?」で終わる可能性がある。
  2. 縦書きで,固有名詞がすべてカタカナになっているのが,だるいし,不親切。たとえばイングランドの「ウォーキング」って出てきて,それを調べようと思ったときに「Woking」って普通は想像できないでしょ?
  3. 文中に突然「★」が出てきて,注釈でもないし何かと思ったら,各セクションの末尾に写真付きで補足の説明があるということだった。
  4. Charles Blair Macdonald を「チャールズ・マクドナルド」って書いてるけど,普通はチャールズ・B・マクドナルドかC.B.マクドナルドじゃない?
  5. そのC.B.マクドナルドが設計した National Golf Links of America を最初から最後まで「ナショナルGL」って書いてるけど,「オブ・アメリカ」まで含めて正式なコース名でしょ? 英語文献だとだいたい「NGLA」って略されるし。
  6. 「悪文」としか思えない文章が散見される。特に読点(「,」)の打ち方に大いに違和感を抱く箇所あり。

本書内でいいと思ったのは, PGA Championship を「PGA選手権」といってるところ。たしかによくいわれる「全米プロゴルフ選手権」って違和感大ありなので――だって正確には「全米プロゴルフ協会選手権」あるいは「全米プロゴルファー協会選手権」でしょ。

783.8

ゴルフ時空間ツアー : スコットランド・イングランド・アメリカ・日本の草創期のコースと天才たち (ゴルフダイジェスト社): 2020|書誌詳細|国立国会図書館サーチ