Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

本條強『中部銀次郎 ゴルフの要諦』日本経済新聞出版社(日経ビジネス人文庫)

確かに中部銀次郎の幼少期とか,「2回戦ボーイ」だった中部がいかにしてマッチプレーに強くなるかといったプロセスは面白いものはあるんだけど,でもこえあくまで本條強の著作なんだよね。

「ゴルフの要諦」っていって箴言・格言めいたものをまとめているけれど,それも中部が直接言ったものじゃなく,本條がまとめたものだから。たとえば

要諦71「きびきびとプレーし,姿勢よく歩いた。自分のリズム,テンポでゴルフを行った」

ってのがあるけど,これ,奥さんが中部のゴルフの印象を語ったものをまとめたやつだから。あるいは

要諦46「初めはゆったりじっくりプレーし,終盤になってから一気に攻めて勝負をつける」

というのも,中部がマッチプレーで常にそういうプレーをしたというわけではなく,そういうふうにして勝った試合があったということにすぎない。

何はともあれ,この本でいちばん印象に残ったのは,中部銀次郎の「実家が太い」ということ。普通の人が「一生に一度ラウンドできたらいいな」と思う廣野ゴルフ倶楽部,父親がメンバーだったということで自らも大学生のときにメンバーになった。そのことだけでも,中部の実家がどれだけ「太い」かということが分かるし,「日本アマ6勝」という偉業もその「実家の太さ」あってのことだよね…。

783.8

中部銀次郎ゴルフの要諦 (日本経済新聞出版社): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ