確かに中部銀次郎の幼少期とか,「2回戦ボーイ」だった中部がいかにしてマッチプレーに強くなるかといったプロセスは面白いものはあるんだけど,でもこえあくまで本條強の著作なんだよね。
「ゴルフの要諦」っていって箴言・格言めいたものをまとめているけれど,それも中部が直接言ったものじゃなく,本條がまとめたものだから。たとえば
要諦71「きびきびとプレーし,姿勢よく歩いた。自分のリズム,テンポでゴルフを行った」
ってのがあるけど,これ,奥さんが中部のゴルフの印象を語ったものをまとめたやつだから。あるいは
要諦46「初めはゆったりじっくりプレーし,終盤になってから一気に攻めて勝負をつける」
というのも,中部がマッチプレーで常にそういうプレーをしたというわけではなく,そういうふうにして勝った試合があったということにすぎない。
何はともあれ,この本でいちばん印象に残ったのは,中部銀次郎の「実家が太い」ということ。普通の人が「一生に一度ラウンドできたらいいな」と思う廣野ゴルフ倶楽部,父親がメンバーだったということで自らも大学生のときにメンバーになった。そのことだけでも,中部の実家がどれだけ「太い」かということが分かるし,「日本アマ6勝」という偉業もその「実家の太さ」あってのことだよね…。
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