現代のエレクトロニカ御三家といえば Floating Points / Four Tet / Caribou だと思うし,特に Floating Points《Crush》が出てからは自分の中でその順番だったけど,最近気づいたら自分の中で Caribou が一番になってた。ここ2年,ジムの中で流すのはもっぱら《Suddenly Remixes》か《BBC Radio 1 Essential Mix 2020》だったし。
そんなタイミングでの Caribou バンドライブ。
"Dan, we love you!" としか言えないんだけど,あんな温かみがあって人柄の感じられるエレクトロニック・ダンス・サウンド,ロマンチックなトランス状態ってありますかね? Dan Snaith が時折フロアを見て微笑む姿とか,最後にフロアに向かって作ったハートマークとかがまたなんとも愛おしくて……たまらん。
数分にわたるイントロのサウンドから始まって,そこから始まる〈Volume〉。そこからバンドでの演奏なのに DJ Mix のように切れ目なく音楽が続いて,バンドでの演奏だからこその存在感とヒューマンな感じとがあって。技術的にものすごいことをやっているんだろうけれど,そんな暑苦しさは微塵も感じさせないでクールに熱く演奏が進む。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいに昔ってロックがダンスミュージックでそれでフロアの人たちは踊っていたけれど,今の Caribou がバンドでやろうとしているのはそんな感じ,っていったらいいのかな? 今の人が本当に踊れる音楽としての演奏を,バンドでしてる。
caribou最高だったよ。
— 音楽好き左利き平凡耳 (@oK_Blonde_) 2024年10月14日
ドラマー、休みなしで大変そうだったなぁ。 pic.twitter.com/iZB1eAls42
この方の言うとおりで,曲がシームレスに続いていく,しかも曲間はドラムだけは鳴ってるから,ドラマーの人(Brad Weber)休みなし。「エレクトロニカのバンドでドラム」っていうんで高橋幸宏を思い出したけど,Brad はユキヒロさんみたいな見た目のスタイリッシュさはない。地味にひたすら仕事する。なので,ステージを最後に降りたのは Brad だったけど,フロアからの拍手がひときわ大きかった。みんな分かってる。
いま読み進めている『DUB論』の内容と Caribou の音楽とか大きく重なる部分があって――踊れる音楽,クリエイションとしてのエンジニアリング,サウンドスケーピング,歌詞の断片化――,Dan は自分の音楽に対するダブの影響をどう明示的に意識しているんだろうか。機会があれば訊いてみたいものだ。