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監修者のことば(小鍛冶邦隆)
「楽典」はほんらい、ソルフェージュや和声の学習にともなう音楽的知識や音楽用語を学ぶためのものであり、とうぜんながら演奏技術習得のうえでも必要なものです。
それから136年の歳月を重ねたいま、本書『楽典──音楽の基礎から和声へ』の刊行は、東京藝術大学の現時点の教育水準と教育目標を設定するにとどまらず、日本におけるヨーロッパ音楽修得の重要な段階を画するものといえるでしょう。
第1章 五線と加線(執筆:平川加恵)
五線と加線
音の高さ(音高)は5本の線を使ってあらわす。これを五線という。この音域を下に超える場合は下方に、上に超える場合は上方に線を書き足してあらわす。この線を加線という。また、線と線に挟まれた部分を間(かん)という。
音部記号
音部記号のあらわす音高
声部記号と譜表
大譜表と総譜(スコア)
第2章 音名と変化記号(執筆:平川加恵)
幹音
記譜の基本となる、いつさいの変化を加えられない音を幹音という。
オクターヴ
音名と音域
変化記号
幹音の音高を上または下に変化させるために、音符の左側につける記号のことを変化記号という。
変化記号によって幹音が上下に半音階的に変化した音のことを変化音(派生音)という。
異名同音
異名(いめい)同音とは、記譜の違いにより音名は異なるが、鍵盤上は音高が同一となる音どうしのことをいう。
調号
ある調を構成するひとつまたは複数の音につねに変化記号がつけられる場合、その変化記号をまとめて示したものを調号という。
調号の書き方
調号の効力
臨時記号
調号によってはじめから変化している音に一時的につけられる♮も臨時記号である。
臨時記号の効力
同じ小節内で同じ幹音に異なる臨時記号が2回つけられる場合
注意喚起のための指示
第3章 音符と休符(執筆:照屋正樹)
音符の各部分の名称
音符の表記上の諸注意
音符の種類と名称
付点音符
複付点音符
フェルマータ
休符
連符
3連符
2連符
4運符
5 連符・7連符
6連符
タイとスラー
第4章 縦線と小節、拍と拍子(税筆:照屋正機)
反復にかんする記号、指示語
拍と拍子
拍子記号
CとC|
強起と弱起
拍子の種類
単純拍子
複合拍子
混合拍子
1拍子
小音符
ヘミオラ
拍子の变更
拍子とテンポ
シンコペーション
拍や拍子がわかりやすいリズム表記
例外的なリズム表記
第5章 音程(執筆:小鍛洽邦隆)
音程
音程とは、幹音の2音間の間隔(音度の隔たり)を意味する。2音間の音程を度(度数)であらわす。/2音間の関係が水平的なものを旋律的音程、垂直的なものを和声的音程といい、それぞれ2音間の度数を、完全、長、短、増、減の別によっていいあらわすことができる。/和声的音程はかならず下の音から上の音へと読まれる。
音程の数え方
単音程と複音程
オクターヴ (8度)までの音程を単音程、オクターヴを超える音程を複音程というが、複音程は、オクターヴと単音程の度数を組み合わせていうことがふつうである(例:1オクターヴと完全5度など)。
転回音程
音程(単音程)を構成する一方の音を、もう一方の音の側へそれぞれ1オクターヴ上下させることを転回といい、それによってできる音程を転回音程という。もとの音程と転回音程の和は1オクターヴとなる。完全音程の転回音程は完全音程に、長音程の転回音程は短音程(短音程の転回音程は長音程)に、増音程の転回音程は減音程(減音程の転回音程は増音程)になる。複音程は転回をおこなわない。
音程の算出のしかた
2度:幹音中、ミ─ファとシ─ドの2つの2度は短2度で、それぞれ半音1つぶんからなる(全音階的半音)。それ以外の2度(ド─レ、レ─ミ、ファ─ソ、ソ─ラ、ラ─シ)は半音2つぶんからなる長2度である。また長2度を全音、短2度を半音という。半音とはオクターヴ(8度)を12等分した音程である。半音には、幹音の全音階的半音と、半音階的半音(p.058を参照)がある。
3度:長2度のみのものは長3度、短2度を含むものは短3度。
6度:短2度1つを含むものは長6度、短2度2つを含むものは短6度。
7度:短2度1つを含むものは長7度、短2度2つを含むものは短7度。
4度:短2度1つを含むものは完全4度、短2度を含まず、長2度のみによるものは増4度。
5度:短2度1つを含むものは完全5度、短2度2つを含むものは減5度。
臨時記号を含む音程(半音階的音程)
臨時記号の有無にかかわらず、幹音のみで音程を数え、長音程の上部音に変記号(あるいは本位記号)、あるいは下部音に記号(あるいは本位記号)があれば短音程、短音程の上部音に嬰記号(あるいは本位記号)が、あるいは下部音に変記号(あるいは本位記号)があれば長音程となる。
また長音程の上部音に嬰記号(あるいは本位記号)、あるいは下部音に変記号(あるいは本位記号)があれば増音程(増2度、増3度、増6度、増7度)、短音程の上部音に変記号(あるいは本位記号)、下部音に記号(あるいは本位記号)があれば減音程(減2度、減3度、減6度、減7度)となる。
協和音程と不協和音程
協和音程は完全1度、4度、5度、8度の完全協和音程と、長短3度、6度、の不完全協和音程からなる。/不協和音程は、上記のもの以外をいう(長短2・7度とすべての音度の増、減、重増、重减音程)。
第6章 音階・調(執筆:小鍛洽邦隆)
音階
音階とは、1オクターヴ=7音の幹音からなり、全音階を構成する。/17世紀以降、20世紀初頭にいたるまで、長音階と短音階を中心に、調的和声が生み出された。
幹音からなる全音階は、全音と半音の組み合わせにより、ハ音を主音(音階第1音=トニック)とする長音階、イ音を主音とする短音階を構成するが、音階音それぞれの機能は、重要度によって、以下のように分類される。/主音(第1音):音階の開始音であり、終止音としてのトニック 属音(第5音):音階の調的機能の中心としての、主音の5度上のドミナント(上属音ともいう)/下属音(第4音):主音を中心に、5度上の属音にたいして、5度下のサブドミナント/主音を中心として、属音、下属音が決まることで、調が確定する。
長音階
主音、属音から長3度を構成して、幹音中のミーファとシードに短2度(半音)を含み、長調の調的機能を生じさせる。
短音階
調
移調
調号
近親調
五度圏
転調と移調
移調の方法
音部記号をもちいた(入れ替えた)移調法
その他の音階
民俗音楽には、5音からなる五音音階(ペンタトニック音階)、あるいはロマ(ジプシー)音階といわれる音音階などがみられる。オクターヴを半音で12分割したものは半音階(クロマティック音階)といい、全音階の半音間を補うかたちで使用されてきた。
また、オクターヴを長2度6音で均等に分割した全音音階(幹音からなる全音階とは異なるので注意)、さらに音階内部にシンメトリックな配分をもつため、移調の回数(長音階、短音階は、当初のものを含めてそれぞれ12回)が制限される「移調(移高)の限られた旋法」(O.メシアン)など、近・現代音楽においては人工的な複合旋法もみられる。
教会旋法
第7章 和音(税筆:林達也)
自然倍音と和音
和音の表示法
和音度数による表示法(三和音)
和音の機能
通奏低音(数字)による表示
三和音、四和音、五和音
三和音
長三和音
短三和音
増三和音
減三和音
減三和音の和音数字について
属和音(VII度和音)としての減三和音(主和音に解決する場合)
II度和音としての減三和音(短調において属和音へ進行する場合)
四和音(7の和音)
長7和音
短7和音
属7和音
減5短7和音
減7和音
五和音(9の和音)
属長9和音
属短9和音
その他の四和音(7の和音)
増5長7和音
短3長7和音
変化和音
カデンツ(終止形)
半終止
全終止
変格終止(またはプラガル終止)
偽終止
中断終止
その他の終止形
第8章 非和声音、転調、調性分析(執筆:林達也)
非和声音(和音外音)
経過音
刺繍音
掛留音
倚音(アポッジャトゥーラ)
逸音
先取音
非和声音が複合的に生じる場合
半音階的経過音
経過的倚音
転調
転調について
調性分析
調性分析の方法
調性分析の要点
第9章 演奏記号(執筆:大角欣矢)
速度記号
遅めのテンポ
中程度のテンポ
速めのテンポ
速度標語にたいしてよく使われる付加語・接尾辞
付加語
接尾辞
速度標語に転用された発想標語
速度標語と発想標語の組み合わせ
特殊なテンポ表示
Tempo giusto
楽曲のタイプ名によるテンポ表示
自由なテンポの表示
テンポを2倍にする場合
途中で別のテンポに移ったあとで、もとのテンポに戻る表示
前のテンポを引き続き維持する場合
速度の局所的な変化
Tempo Iとatempoの違い
よくもちいられる独仏語による速度標語
強弱記号
強弱をあらわす基本的な記号
強さの変化
発想標語
アーティキュレーション記号
音を滑らかにつなげる(レガート)
一音一音を切り離して演奏する(スタッカート)
一音一音をやや切りぎみに奏する(ノン・レガート)
一般的な奏法上の指示
アルペッジョ (arpeggio)
グリッサンド(glissand)、ポルタメント(partamento)、スライド(slide)
トレモロ(tremolo, trem.)
弱音器の使用
attacca:間を置かず、すぐ次へ続けて.
フェルマータ(fermata)
おもな楽器特有の奏法表示
ピアノ
ヴァイオリン属
管楽器
打楽器
声楽
合奏における奏法上の指示
略記法
同音反復
同一音型の反復
simile (sim.)
sempre
オクターヴ高く、または低く
オクターヴの重複
装飾音・装飾記号
前打音と後打音
トリルとターン
X
あとがき(照屋正樹)
付録 演奏用語一覧(執筆:大角欣失)
索引
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I029617366
761.2
