この種の文献がとかく動物のさまざまな象徴的・寓意的意味を列挙するのにとどまるのに対し,本書は,中世初期から現代までの歴史のなかで鷲の形象がどのような政治的機能を帯び,いかに利用されてきたかを,各時代ごとに文脈を設定して検討しているという特色がある。
と「訳者あとがき」は述べるものの,いかんせん読みにくい。気取った文体というか。出だしがこんなだもん。
生成は,混沌(カオス)を前提とするものである。鷲の登場しないこの第一章では,時を超えて古代ローマからハプスブルク家までのあらゆる帝国とを結びつけてしまう,誤った継続性を打破することにしたい。不在とその理由を,カロリング朝時代(八ー九世紀)について提示してみよう。
帯でも裏表紙折り返しの著者紹介でも「〈アナール学派〉第4世代に属する中世史家」と謳われているんだけど,「〈アナール学派〉第4世代」はそんなにキャッチ―なのか?
288.6