Dribs and Drabs

ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

社会科学 Social sciences

政治,法律,経済,統計,社会,教育,風俗習慣,国防

安宅和人『イシューからはじめよ:知的生産の「シンプルな本質」』英治出版

いまさらこの手の本を読むことの毛恥ずかしさがあったけど,読んでおいてよかった。最近の自分の仕事を振り返りながら読み進めて,もっと効率よくできたはずと反省するばかり。そして本書の内容はビジネス向けに書かれたものだけど,学術的な研究の方法論と…

柳瀬典由『保険リスクマネージャーの視点と実務』中央経済社

リスクマネージャーの職務を語る上で,入口としてのブローカーと出口としてのキャプティブは,切っても切れないものだということが分かった(いまさらですみません)。あと人材の件ね,どなたかが書かれていたけれど,社内人材・社外人材(保険会社からの出…

菅野誠二『外資系コンサルのプレゼンテーション術:課題解決のための考え方&伝え方』東洋経済新報社

外資系コンサルのプレゼンテーション術―課題解決のための考え方&伝え方作者:菅野 誠二東洋経済新報社Amazon 序章 Set up プレゼンテーションの種類から「やること」「優先順位」を決める プレゼンテーションの目的を横軸にしてみると、単なる報告から、議論…

クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』慶應義塾大学出版会

なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学作者:クラウディア・ゴールディン慶應義塾大学出版会Amazon 第1章 キャリアと家庭の両立はなぜ難しいか:新しい「名前のない問題」 職場での男女平等がようやく私たちの手に入ったように見え、かつてな…

大城信晃 『AI・データ分析プロジェクトのすべて:ビジネス力×技術力=価値創出』技術評論社

渋谷駅前の人が紹介していたので眺めてみた。 2024年版:独断と偏見で選ぶ、データ分析職の方々にお薦めしたいホットトピックス&定番の書籍リスト - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ データサイエンススキルとデータエンジニアリングスキルの…

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論作者:デヴィッド グレーバー岩波書店Amazon 図書館で人気のようだったので借りてみたけど,これそんなに多くの人にハマる本か? この本自体がブルシットだとは言わないし,刺激的なタイトルはたしかにキャッチ…

佐藤智恵『外資系の流儀』新潮社(新潮新書)

外資系の流儀(新潮新書)作者:佐藤智恵新潮社Amazon 10年前の本だけど,さすがに10年前であっても〈外資系企業〉はもっと多様化していただろうというか,こんなベタな〈外資系〉ってどれぐらいあるんですか,って感じ。 335.47 外資系の流儀 (新潮社): 2012…

池内恵『サイクス=ピコ協定百年の呪縛:中東大混迷を解く』新潮社(新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)作者:池内 恵新潮社Amazon 池内センセいわく,中東の今の混乱の原因をサイクス=ピコ協定(だけ)に求める単純が言説が流布しているけれど,実際はそんな簡単なもんじゃない,ということで,本…

アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』三笠書房

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍作者:アダム・グラント三笠書房Amazon 冒頭に監訳者の解説みたいな長文が載っていて,フラグ立ってるなって感じ。訳者や解説が本文より目立つ本って碌なのがない。 といいつつ,本書は割…

リチャード・ニクソン『指導者とは』文藝春秋(文春学藝ライブラリー)

指導者とは (文春学藝ライブラリー)作者:リチャード ニクソン文藝春秋Amazon どうしたことか「ニクソンがビジネスリーダーの資格について書いたもの」という先入観があって,しかし読んでみたら全然違うことが分かり――チャーチルとかドゴールとかマッカーサ…

大鹿靖明『金融庁戦記:企業監視官・佐々木清隆の事件簿』講談社

金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿作者:大鹿靖明講談社Amazon まぁこういうお話は〈痛快〉ですよね。〈金融庁戦記〉っていうメインのタイトルはあとづけで,本質は〈佐々木清隆の事件簿〉。この異色の人物に焦点を当てているのだが,著者があとがき…

前田健太郎『市民を雇わない国家:日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版会

市民を雇わない国家: 日本が公務員の少ない国へと至った道作者:前田 健太郎東京大学出版会Amazon 2015年のサントリー学芸賞〔政治・経済部門〕受賞*1で,非常にまっとうな学術書。「博士論文…に大幅な加筆・修正を施したもの」というだけで,どのような本か…

ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス:世界経済の未来を決める三つの道』白水社

グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道作者:ダニ ロドリック白水社Amazon 〈訳者あとがき〉に内容がサマライズされていて,それを読んだら「もういいかな」って気分になった。いわく, 本書の核となるアイデアは,市場は統治な…

小泉悠『「帝国」ロシアの地政学:「勢力圏」で読むユーラシア戦略』東京堂出版

「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)作者:小泉 悠東京堂出版Amazon ちくま新書の『現代ロシアの軍事戦略』は,著者のオタク的興味関心が詰まったーーそういう意味では好みが分かれるーー本であったのに対して,こちらはしかめつらしい…

アマルティア・セン『アイデンティティと暴力:運命は幻想である』勁草書房

アイデンティティと暴力: 運命は幻想である作者:アマルティア・セン勁草書房Amazon 期待感を抱かせるタイトルなんだけど,本書の主張はそれに尽きる。つまり「単一のアイデンティティに人間を押し込めること(=人間の矮小化)が,国家間とか宗教観の紛争に…

ケネス・ウォルツ『人間・国家・戦争:国際政治の3つのイメージ』勁草書房

人間・国家・戦争: 国際政治の3つのイメージ作者:ケネス ウォルツ勁草書房Amazon 『国際紛争』*1で引用されていたやつ。戦争の原因を〈個人〉〈国家〉〈国際システム〉という3つの〈イメージ〉に体系化して考えようというのを主張したもの。含蓄深い・味わい…

ブレント・ゴールドファーブ, デヴィッド・カーシュ『テクノロジー・バブル:なぜ「熱狂」が生まれるのか(生まれないのか)?』日経BP

テクノロジー・バブル なぜ「熱狂」が生まれるのか(生まれないのか)?作者:ブレント・ゴールドファーブ,デヴィッド・カーシュ日経BPAmazon いかにもビジネススクールで教える人が書いたっていう本。つまり,包括的で記述はしっかりしているが,面白くない。 …

井田良, 佐渡島紗織, 山野目章夫『法を学ぶ人のための文章作法』有斐閣

法を学ぶ人のための文章作法 第2版作者:井田 良,佐渡島 紗織,山野目 章夫有斐閣Amazon 法を学ぶ人のための文章作法作者:井田 良,佐渡島 紗織,山野目 章夫有斐閣Amazon 読んだのは初版の方。「法的文章以前に普通の日本語の文章を書くのもままならない」的な…

ヤン・オングストローム, J.J.ワイデン『軍事理論の教科書:戦争のダイナミクスを学ぶ』勁草書房

軍事理論の教科書作者:ヤン・オングストローム,J.J. ワイデン勁草書房Amazon ガチガチの教科書。僕のような表層的な人間がさらっと眺めて楽しめるようなものではなかった。教科書だからって,わざわざ平板な記述にすることもなかろうに。 軍事理論にフォーカ…

小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』筑摩書房(ちくま新書)

現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書)作者:小泉悠筑摩書房Amazon 前から気になっていた本書だが,今のウクライナ侵攻によって俄然注目を集めている,と思う。「職業的オタク」を自認する著者による,現代ロシア軍のオタク的側面ーー兵器,軍事組織,戦術,戦略…

クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』飛鳥新社

目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画作者:クライブ・ハミルトン,山岡鉄秀飛鳥新社Amazon 『侵食される民主主義』*1 *2で紹介されていた本。 著者が熱意を込めて本書を著したというのはよく分かる。相当なページ数で,二段組。取材が丹念で,情報が…

茶野努, 安田行宏『基礎から理解するERM:高度化するグローバル規制とリスク管理』中央経済社

基礎から理解するERM ―高度化するグローバル規制とリスク管理作者:茶野 努,安田 行宏,廉 了,増井 正幸,矢野 聡,浅見 潤一,浜崎 浩一,植村 信保,伊豆原 孝中央経済社Amazon ERMに関して,ポジティブに言えば「多彩なトピックが盛り込まれている」し,ネガティ…

中出哲『海上保険:グローバル・ビジネスの視点を養う』有斐閣

海上保険 -- グローバル・ビジネスの視点を養う作者:中出 哲有斐閣Amazon 海上保険の基礎的なところをしっかりと解説してくれる。特に,貨物保険と船舶保険の前提になるところーー貨物であれば貿易のしくみとかーーが丁寧に解説されていると思った。個人的な…

エリン・メイヤー『異文化理解力:相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』英治出版

異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養作者:エリン・メイヤー,田岡恵英治出版Amazon 『NO RULES』の共著者による本で,同書の中にでてきた〈カルチャーマップ〉ーー他国の人と仕事をするにあたって把握しておいた方がいい指標…

山本統一『SEが基礎から学ぶ金融システムの教科書』日本実業出版社

SEが基礎から学ぶ金融システムの教科書作者:山本 統一日本実業出版社Amazon 〈SEが〉の要素が思ったより薄くて〈金融システムの教科書〉の要素が多かったな,という印象。「勘定系とは何か」とか,そういうことを知りたかったんですけど……。 338.21 SEが基礎…

仲正昌樹『東京80年代から考えるサブカル:ストリート・音楽・ファッション・宗教・現代思想』図書新聞

東京80年代から考えるサブカル―ストリート・音楽・ファッション・宗教・現代思想作者:米原 康正図書新聞Amazon 良くも悪くも〈素人くさい作り〉の本である。 良い意味での〈素人くささ〉,それは内容の雑多さ――サブタイトルに象徴されるように――と,それによ…

フレデリック・ラルー『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』英治出版

ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現作者:フレデリック・ラルー,嘉村賢州英治出版Amazon 人気の本っぽかったので借りてみた。 まず〈ティール〉って色の名前なんだそうな(teal)*1。著者いわく,人類のパラダイムと組織の発達にはい…

ラリー・ダイアモンド『侵食される民主主義:内部からの崩壊と専制国家の攻撃 下』勁草書房

侵食される民主主義 下: 内部からの崩壊と専制国家の攻撃作者:ラリー・ダイアモンド勁草書房Amazon 下巻も読了。上巻はビッグピクチャーを描いていたのに対して,下巻は細かい処方箋――特にアメリカにおいて民主主義を回復するための――といった様相を呈してく…

デイヴィッド・エンリッチ『スパイダー・ネットワーク:金融史に残る詐欺事件――LIBORスキャンダルの全内幕』ハーパーコリンズ・ジャパン

スパイダー・ネットワーク 金融史に残る詐欺事件――LIBORスキャンダルの全内幕 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)作者:デイヴィッド エンリッチハーパーコリンズ・ジャパンAmazon LIBORに〈不正〉があって廃止されたことは知っていたけど,まさかこんなこ…

ドン・マントン, デイヴィッド・A・ウェルチ『キューバ危機:ミラー・イメージングの罠』中央公論新社

キューバ危機 - ミラー・イメージングの罠作者:デイヴィッド・A・ウェルチ中央公論新社Amazon 『国際紛争』で存在を知ったこの本。 本書を執筆した動機には,一九六二年のキューバ・ミサイル危機を扱った著作のうち国際関係論の入門的な授業で使え,読みやす…