Dribs and Drabs

ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

英米文学 English and American literature

トーマス・C・フォスター『大学教授のように小説を読む方法 増補新版』白水社

池澤夏樹のは作家側からの読解だったが,こちらは批評家側からの読解。合わせて読むと面白い。重なる部分は少ないけれど,その少ない重なった部分が,池澤夏樹が「小説は〈世界〉を描く」といったところ,フォスターが「ストーリーはひとつ」といってところ…

ビル・ブライソン『シェイクスピアについて僕らが知りえたすべてのこと』日本放送出版協会

シェイクスピアについて僕らが知りえたすべてのこと作者:ビル ブライソン日本放送出版協会Amazon 『人体大全』のビル・ブライソン*1の著作。やっぱりこの人の本は面白い。 訳者あとがきにあったけれど,とある評論家はビル・ブライソンのことを「彼の才能は…

ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』早川書房(ハヤカワ文庫)

スノウ・クラッシュ〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:ニール スティーヴンスン早川書房Amazon スノウ・クラッシュ〔新版〕 下 (ハヤカワ文庫SF)作者:ニール スティーヴンスン早川書房Amazon あぁ,自分はもう小説が読めない体になってしまったのか……。最初…

スティーヴン・キング『書くことについて』小学館(小学館文庫)

書くことについて (小学館文庫)作者:スティーヴン キング小学館Amazon 内容を要約すれば,「(いい小説を書きたければ)いっぱい読んで,いっぱい書け。正直に書け。簡素に書け。ドアを閉めて書いて,そしてドアを開けて書け」ということになる。 面白いエピ…

山根明敏『テクスト探究の軌跡:ヘンリー・ジェイムズ、レイモンド・カーヴァー、村上春樹』大阪教育図書

テクスト探究の軌跡―ヘンリー・ジェイムズ、レイモンド・カーヴァー、村上作者:山根明敏大阪教育図書Amazon 図書館の新刊コーナーでたまたま目にしたので読んでみた。序文にある以下の文が気になったからだ: 何故今精読なのか。筆者は過去数十年間にわたる…

ポール・オースター『リヴァイアサン』新潮社(新潮文庫)

リヴァイアサン (新潮文庫)作者:ポール オースター新潮社Amazon 事実と虚構を混ぜ合わせることを/許可してくれたソフィ・カルに感謝する。/――作者 冒頭にの献辞のひとつにこんなものがあるように,「事実と虚構」の混濁はこの小説の大きな特徴であり,それ…

ポール・オースター『偶然の音楽』新潮社(新潮文庫)

偶然の音楽 (新潮文庫)作者:ポール オースター新潮社Amazon 久しぶりにオースターの小説を読んだ。こないだ友人との会話でポーカーの話になり,それで思い出したのだ。 出だしが最高で,すでに破滅の予感に満ちている: まる一年のあいだ,彼はひたすら車を…

R・L・リプレー『世界奇談集:ウソのような本当の話』河出書房新社(河出文庫)

世界奇談集―ウソのような本当の話 (河出文庫)河出書房新社Amazon もともと『「偶然」の統計学』で知ったんだったかな,この本。 ほんとサブタイトルのとおり「ウソのような本当の話」が満載で,暇つぶしで読むにはもってこいである。 934