Dribs and Drabs

ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

J. D. ヴァンス『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人たち』光文社

2016年にトランプが勝ってヒラリーが負けたとき、「アメリカ人ってバカなのか?」って思ったのを覚えてるんだけど、アメリカ人(のすべて)がバカなわけではなく、単に自分がアメリカの内実を知らなかっただけだったという。 区の図書館と国会図書館とでつけ…

Chilly Gonzales《Gonzo》|ラップのこと,リチャード・クレイダーマンのこと

自分もまさにソロピアノのアルバムで Chilly Gonzales を知って,なもんだから「静謐で内向的で……」みたいな人物をイメージしていたんだけれど,ロンドンで10年ほど前に彼のライブを観にいったとき,その先入観とは裏腹に,声の大きなエンターテイナーである…

ロバート・フィリップ『若い読者のための音楽史』すばる舎

全体通して面白く読める,というわけではないけれど,後半になるにつれて――つまり自分が割と知っているクラシックとそれ以降の音楽――面白くなってきた。特に現代音楽の作曲家,あるいはその作品と大衆との断絶みたいなところが。ワールドミュージック的なも…

マイケル・E・ヴィール『DUB論』水声社

この本の存在を知ったのはこのツイートのおかげ: 『DUB論』は濃密で分厚いので読み進め辛いですが、「最終章 エレクトロニカ、リミックス文化、そして世界のポピュラー音楽を変えるジャマイカ」は、パンク、ポストパンク、UKロック、ざっくり欧米としての「…

Caribou @ Spotify O-EAST, 2024.10.14

現代のエレクトロニカ御三家といえば Floating Points / Four Tet / Caribou だと思うし,特に Floating Points《Crush》が出てからは自分の中でその順番だったけど,最近気づいたら自分の中で Caribou が一番になってた。ここ2年,ジムの中で流すのはもっぱ…

福田和也『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである:コロナ禍「名店再訪」から「保守再起動」へ』河出書房新社

さすがに枯れたねぇ,福田和也。「枯れたのがまたいい」とかじゃなくて,ただ枯れてるし,ただもの悲しい。昔取った杵柄で文章書いてるだけ。「男はとんかつだと思っている」と言い切りながら,それを納得させるような文章がひとつも出てこない。「保守を自…

ターシャ・ユーリック『insight:いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』英治出版

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力作者:ターシャ・ユーリック,中竹竜二英治出版Amazon 第1章 二一世紀のメタスキル この中佐は、戦場だろうが、職場だろうが、どこであろうが成功と失敗を分ける、最も重要…

奥野由紀子『超基礎・第二言語習得研究SLA』くろしお出版

白井恭弘の本を2冊読んだあとなので,同じSLAついてだけど新鮮に感じる部分あり。「L2」みたいな言葉も覚えたので,良しとする。ただ本書はL2として日本語を学ぶことが想定されているというか,そういう人たちに教える人たちを想定して書かれれているので,…

加藤一陽『音楽メディア・アップデート考:批評からビジネスまでを巡る8つの談話』リットーミュージック

柳樂光隆さんの『Jazz The New Chapter』について知りたくて手にとっただけだけど,思いのほか収穫が多かった。 まずロッキンオンの話。鹿野さんが『Japan』やりたかったわけじゃないけどロッキンオンに入社したとかいう話があったけど,自分も『Cut』の編集…

Caribou《Honey》

ということで Caribou《Honey》がフルリリースされた。ダンサブルでハッピーでもう最高,としか言いようがないんだけど,ここで本人が語っているように, ‘Honey’ is out now. i hope it brings you joy. x d https://t.co/zVMM569DtZ pic.twitter.com/MQ0Xa…

Radio Head《Kid A》

数日前,「24年前のこの日にこのアルバムがリリースされた」みたいな感じで,Twitter上に《Kid A》が溢れてた。 去年の暮れだったかな,Apple Musicが過去の名盤のTop100をランキングしてて,この《Kid A》も入っていたんだけど,それより《OK Computer》の…

高橋雅紀『分水嶺の謎:峠は海から生まれた』技術評論社

今年の夏に北海道に行ったときに観光ガイドから分水嶺の話を聞いたもので、それでこの本を読んでみた。 そんな軽い興味で読むには深すぎる内容だったというか、自分はそこまで〈地形〉に興味が(今のところは)ないんだなってことが分かったけれど、著者のパ…

Jamie xx《In Waves》〈Baddy On the Floor〉, Keni Burke〈Let Somebody Love You〉

ツアーも発表されて豊洲にやってくることが判明した Jamie xx。ほんとクセになるテクノディスコサウンドで,最近めっちゃ聴いてます。Gilles Peterson on BBC6 のプログラム*1〈Baddy On the Floor〉が流されて,「あれ,また同じ曲につなぐの?」と思ったら…