Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

植田かおり『古典ギリシア語のしくみ 新版』白水社

やっぱり言葉の裏にある文化に厚みがあると,その言語についての文章にも自然に厚みが出る。無理に面白い文章を書こうとはしていないのに,自然に面白い。それが本書。 あと,古典ギリシア語と現代ギリシア語との違いを知りたくて,同僚のギリシア人に質問し…

市之瀬敦『ポルトガル語のしくみ 新版』白水社

このしくみシリーズ,著者の軽い語り口が特徴のひとつだし,そこに個性が出て面白いのだが,このポルトガル語の著者はその部分があまり面白くない……。ロシア語とかチェコ語みたいなエキゾチックな言語なら余談もいろいろ書けそうだけれど,ポルトガル語だと…

金指久美子『チェコ語のしくみ』白水社

なるほどチェコ語が複雑なことがよく分かった。しかし自分としてはなんとしてもものにしたい。 チェコ語のしくみ《新版》作者:金指久美子白水社Amazon i 1章 文字と発音のしくみ チェコ語はロシア語と親戚関係にある言語です。ロシア語がキリル文字を用いて…

黒田龍之助『ロシア語のしくみ 新版』白水社

ロシア語のしくみ《新版》 (言葉のしくみ)作者:黒田 龍之助白水社Amazon この本は『ロシア語のしくみ』です。ロシア語は多くの人が「なんとなく難しそうだ」と言じている言語です。でもどこがどう難しいのか,説明できる人はあまりいません。本当はどうなん…

竹村景子『スワヒリ語のしくみ 新版』白水社

『世界の言語入門』で紹介されていた本をさっそく読んでみる。そして,近所の図書館にはこの『〇〇語のしくみ』シリーズが豊富にあったのが,嬉しい誤算。 で,このシリーズ。「その言語がどんな感じなのかとりあえず知りたい」というーー僕のようなーー人間…

志賀浩二『微分・積分30講』朝倉書店(数学30講シリーズ)

志賀浩二先生の訃報に接し,30講シリーズを改めて眺めてみようと思う。で,シリーズ最初の『微分・積分』。〈数と数直線〉という初歩的なところから始めて,テイラー展開とそのもつ深淵な意味合いを感じさせるところまで持っていってくれる。Tee Timeで述べ…

ジョン・フェインスタイン『天国のキャディ』日本経済新聞社

ブルース・エドワーズのことはうっすらと知っていた――主にぺブルの17番でトム・ワトソンがチップインしたとき「Told you so!」と言った相手として――つもりだけど,彼が今のキャディーの姿のパイオニアだったことは知らなかったし,ターンベリーの〈Duel in t…

黒田龍之助『世界の言語入門』講談社(講談社現代新書)

少しクセのある文章(というか人柄)だとは思うのだが、とにかく読んでいて楽しい。言語によって濃淡はあるものの、いろんな体験をされているところが驚愕に値する。そしてなにより、言語--言語一般というよりは個別の言語--に対する素直な感情が溢れ出…

クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』慶應義塾大学出版会

なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学作者:クラウディア・ゴールディン慶應義塾大学出版会Amazon 第1章 キャリアと家庭の両立はなぜ難しいか――新しい「名前のない問題」 職場での男女平等がようやく私たちの手に入ったように見え、かつてな…

大城信晃 『AI・データ分析プロジェクトのすべて:ビジネス力×技術力=価値創出』技術評論社

渋谷駅前の人が紹介していたので眺めてみた。 2024年版:独断と偏見で選ぶ、データ分析職の方々にお薦めしたいホットトピックス&定番の書籍リスト - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ データサイエンススキルとデータエンジニアリングスキルの…

首都高速道路株式会社, 阪神高速道路株式会社 ほか『高速ジャンクション&橋梁の鑑賞法』講談社

高速ジャンクション&橋梁の鑑賞法講談社Amazon まさに〈鑑賞法〉であって,それぞれのジャンクションをどこから見たらいいのか,どうやって写真を撮ったらいいのか,みたいな話。ジャンクションに対するフェティッシュな愛なのだが,一方で(僕がうっすら期…

佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社(講談社現代新書)

ふしぎな国道 (講談社現代新書)作者:佐藤健太郎講談社Amazon 余はいかにして国道マニアとなりしか 本書は,日本の道路行政の問題について鋭く分析・検討し,何ごとか物申すような本ではない。各地の絶景やグルメを楽しむための,ドライブガイドのような本で…

ひのまどか『バルトーク(音楽家の伝記 はじめに読む1冊)』ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスミュージックメディア部

借りるとき全然気づかなかったけど,これ大きな子供向けの伝記だわ。QRコード読み取って音楽が実際に聴ける仕組みにしてるのはいいと思う。 音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク (音楽家の伝記はじめに読む1冊)作者:ひの まどかヤマハミュージックエン…

田島宏『コレクション・フランス語 1 入門』白水社

コレクション・フランス語 (1 入門) ()白水社Amazon ユニークで意欲的なシリーズである。その第1巻,〈入門〉と銘打ちながら,他の入門書とは一線を画す。だって〈文法〉は第3巻にまわしているから,ここではとにかく初歩的な表現・会話ができることに注力し…

アレックス・ハッチンソン『限界は何が決めるのか?:持久系アスリートのための耐久力の科学』TAC株式会社出版事業部

著者は,極端とも思える方法で人間の限界を押し広げていこうと突き進んだ人たちの物語を織り交ぜながら,過去から現在までの科学的知見を駆使し,人間の耐久力を決めるものや,痛み,筋肉,酸素,暑さと熱,のどの渇き,エネルギーといった肉体に影響する要…

E.H.カー『歴史とは何か』岩波書店(岩波新書)

うーむ。読む人が読んだら面白いんだろうな…。 歴史とは何か (岩波新書)作者:E・H・カー岩波書店Amazon はしがき 1961年の1月から3月にかけて,E・H・カーは,ケンブリッジ大学で『歴史とは何か』と題する連続公演を行ない,同年秋,これを書物として出版し…

村田吉徳『何万件ものデータやピボットテーブルで苦しんでいる人のためのExcel多量データ整形テクニック』秀和システム

「とにかくピボットテーブルって最高なんだけどそのためにはデータはリスト表じゃないといけないけど,だいたいのデータってリスト表にはなってない;それをリスト表にするやり方を教えるね」って感じ。INDEX関数とかをがしがし使う。 何万件ものデータやピ…

Mark McClusky『Faster, Higher, Stronger: How Sports Science Is Creating a New Generation of Superathletes--and What We Can Learn from Them』

Faster, Higher, Stronger: How Sports Science Is Creating a New Generation of Superathletes--and What We Can Learn from Them (English Edition)作者:McClusky, MarkAveryAmazon 「自分のライバルより早く学べる能力は,競争上の優位性を保つ唯一の道…

ハーマン・ポンツァー『運動しても瘦せないのはなぜか:代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」』草思社

昔々,BRUTUSのムックか何かで「ジョギングで痩せる」みたいなやつがあって,それはつまり 摂取エネルギーより消費エネルギーが多ければ痩せる 運動すれば消費エネルギーが増やせる だからジョギングすれば痩せる というロジックに基づいた内容だった。 それ…

田島宏 編『コレクション・フランス語 6 聞く』

コレクション・フランス語 6 聞く (<テキスト>)作者:中井 珠子白水社Amazon フランス語で話していて質問は通じたのに,かんじんの返事が聞きとれなかった,という経験をもつ方は多いでしょう。「話す」のは自分のペースで何とかなりますが,「聞く」となると…

今井むつみ『ことばと思考』岩波書店(岩波新書)

ことばと思考 (岩波新書)作者:今井 むつみ岩波書店Amazon 私たちは,ことばを通して世界を見たり,ものごとを考えたりする。では,異なる言語を話す日本人と外国人では,認識や思考のあり方は異なるのだろうか。「前・後・左・右」のない言語の位置表現,こ…

中川努『コレクション・フランス語 4 話す』白水社

コレクション・フランス語 (4)白水社Amazon この本はフランス語でもう少しうまく話をしたいという人のために作りました。広く使われる言いかたや,個性に合った表現方法が身につくはずです。基礎的な学習を続けながら一歩先に進みたい,あるいはしばらくご無…

セシリア・ワトソン『セミコロン:かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』左右社

セミコロンっていうテーマは面白いんだけど……歴史とかエッセイ風の文章に気を取られる。おれはもう少し,スタイルブック風なものを読みたかった;本書の後半は文章の名手たちの実例が載っているとはいえ。 セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句…

千野栄一『外国語上達法』岩波書店(岩波新書)

久しぶりに手に取った。著者が自らを「自分は語学ができるわけではない」と謙遜しているのは記憶に残っていたが,本書がもっぱら自らの周囲にいた圧倒的に語学ができた人たちのエピソードやその人たちから学んだ教えをもとに書かれていることに,改めて気づ…

黒田享『スウェーデン語の基本:入門から中級まで』

MP3・音声DL付 スウェーデン語の基本 入門から中級まで作者:黒田 享三修社Amazon 阪大出版会の本を買うつもりで書店に行ったけど,結果的に買ったのはこちら。向こうはモノクロでこちらは多色刷りというのもあって,ぱっと見の印象ではこちらの方が初学者向…

ピーター・K.オースティン 編『世界言語百科:現用・危機・絶滅言語1000:ビジュアル版』柊風舎

ビジュアル版 世界言語百科 現用・危機・絶滅言語1000作者:ピーター・K・オースティン柊風舎Amazon この本によれば,いま世界では6900の言語が話されている。この本には,現存する/危機に瀕した/絶滅した1000の言語が紹介されている。 類書は知らないけれ…

鈴木孝夫『ことばと文化』』岩波書店(岩波新書)

ことばと文化 (岩波新書)作者:鈴木 孝夫岩波書店Amazon まえがき この本の中で私が文化と称するものは,ある人間集団に特有の,親から子へ,祖先から子孫へと学習により伝承されていく,行動及び思考様式上の固有の型(構図)のことである。 1 ことばの構造…

田島宏 編『コレクション・フランス語 2 初級』白水社

コレクション・フランス語 (2 初級) ()白水社Amazon フランス語に再挑戦したいのだけれどボンジュールから始めるのはちょっと、という人のため2冊目の独習書。 「ボンジュールから始めるのはちょっと」というコンセプトとフレーズは素晴らしい。ただ,もとも…

田島宏 編, 恒川邦夫 著『コレクション・フランス語 5 読む』白水社

コレクションフランス語〈5〉読む (<CD+テキスト>)作者:恒川 邦夫白水社Amazon ベストセラーにもロングセラーにもなるような本ではないと思うけど,試みとしては凄く面白い。〈読む〉と言われて〈英文読解〉とか〈英文和訳〉みたいなのを思い浮かべ,「それって〈文法〉と</cd+テキスト>…

趙義成『これからはじめる韓国語入門』NHK出版

これからはじめる 韓国語入門 NHK出版 音声DL BOOK作者:趙 義成NHK出版Amazon 『本気で学ぶ…』があるし韓国語の本は買わなくていいかなと思ってたけど,書店で目に入ったのがNHK出版の『これならわかる 韓国語文法:入門から上級まで』。なかなかいい本だな…