Dribs and Drabs

ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

Caribou @ Spotify O-EAST, 2024.10.14

現代のエレクトロニカ御三家といえば Floating Points / Four Tet / Caribou だと思うし,特に Floating Points《Crush》が出てからは自分の中でその順番だったけど,最近気づいたら自分の中で Caribou が一番になってた。ここ2年,ジムの中で流すのはもっぱ…

福田和也『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである:コロナ禍「名店再訪」から「保守再起動」へ』河出書房新社

さすがに枯れたねぇ,福田和也。「枯れたのがまたいい」とかじゃなくて,ただ枯れてるし,ただもの悲しい。昔取った杵柄で文章書いてるだけ。「男はとんかつだと思っている」と言い切りながら,それを納得させるような文章がひとつも出てこない。「保守を自…

ターシャ・ユーリック『insight:いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』英治出版

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力作者:ターシャ・ユーリック,中竹竜二英治出版Amazon 第1章 二一世紀のメタスキル この中佐は、戦場だろうが、職場だろうが、どこであろうが成功と失敗を分ける、最も重要…

奥野由紀子『超基礎・第二言語習得研究SLA』くろしお出版

白井恭弘の本を2冊読んだあとなので,同じSLAついてだけど新鮮に感じる部分あり。「L2」みたいな言葉も覚えたので,良しとする。ただ本書はL2として日本語を学ぶことが想定されているというか,そういう人たちに教える人たちを想定して書かれれているので,…

加藤一陽『音楽メディア・アップデート考:批評からビジネスまでを巡る8つの談話』リットーミュージック

柳樂光隆さんの『Jazz The New Chapter』について知りたくて手にとっただけだけど,思いのほか収穫が多かった。 まずロッキンオンの話。鹿野さんが『Japan』やりたかったわけじゃないけどロッキンオンに入社したとかいう話があったけど,自分も『Cut』の編集…

Caribou《Honey》

ということで Caribou《Honey》がフルリリースされた。ダンサブルでハッピーでもう最高,としか言いようがないんだけど,ここで本人が語っているように, ‘Honey’ is out now. i hope it brings you joy. x d https://t.co/zVMM569DtZ pic.twitter.com/MQ0Xa…

Radio Head《Kid A》

数日前,「24年前のこの日にこのアルバムがリリースされた」みたいな感じで,Twitter上に《Kid A》が溢れてた。 去年の暮れだったかな,Apple Musicが過去の名盤のTop100をランキングしてて,この《Kid A》も入っていたんだけど,それより《OK Computer》の…

高橋雅紀『分水嶺の謎:峠は海から生まれた』技術評論社

今年の夏に北海道に行ったときに観光ガイドから分水嶺の話を聞いたもので、それでこの本を読んでみた。 そんな軽い興味で読むには深すぎる内容だったというか、自分はそこまで〈地形〉に興味が(今のところは)ないんだなってことが分かったけれど、著者のパ…

Jamie xx《In Waves》〈Baddy On the Floor〉, Keni Burke〈Let Somebody Love You〉

ツアーも発表されて豊洲にやってくることが判明した Jamie xx。ほんとクセになるテクノディスコサウンドで,最近めっちゃ聴いてます。Gilles Peterson on BBC6 のプログラム*1〈Baddy On the Floor〉が流されて,「あれ,また同じ曲につなぐの?」と思ったら…

トーマス・C・フォスター『大学教授のように小説を読む方法 増補新版』白水社

池澤夏樹のは作家側からの読解だったが,こちらは批評家側からの読解。合わせて読むと面白い。重なる部分は少ないけれど,その少ない重なった部分が,池澤夏樹が「小説は〈世界〉を描く」といったところ,フォスターが「ストーリーはひとつ」といってところ…

Various Artits《Red Hot & Rio》

大学生のとき,大学にはろくに行かずに,むしろ近くのポール・スミスに行っては店員さんと駄弁っていたんだけど(いまにして思えばウザい学生でしかない),そのときの店員のひとりだった田口くんに勧められたのが,このアルバム。 Red Hot プロジェクトとか…

白井恭弘『外国語学習に成功する人、しない人:第二言語習得論への招待』岩波書店(岩波科学ライブラリー)

付録として〈コツ〉がまとめられているのが有益。内容は同じ著者の岩波新書と同じなので,新書を読んだ人がこちらを読む必要性は,限りなく薄い。 外国語学習に成功する人,しない人-第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー)作者:白井 恭弘岩波書店A…

BIGYUKI @ Blue Note Place, 2024.9.20

こないだ代々木上原OPRCTではソロライブだったけど,今回はバンド。 とにかくBIGYUKIが演奏してて楽しそう。このメンバーでバンドとして演奏できていることが楽しい,そんな感じがひしひしと伝わってきた。 ドラムのジャリスも楽しそう。ニコニコしながら叩…

Call Super, Julia Holter〈Illumina - Doves of Discipline Mix〉

2023/10/7。 www.bbc.co.uk この日が自分にとって Call Super に出会ってしまった,Call Super を知ってしまった日になりましたとさ。(よくよく調べたら2000年に本人がこのGillesのプログラムに出てて,それを聞き逃したオレなんなんだって感じなんだけど)…

Four Tet《Three +》

ほんとにこの人の言うとおりでね…… Four Tet、floating points、Jamie XX、Caribouが同じ年にアルバム出すなんて、四皇の頂上決戦みたいやな。 pic.twitter.com/awAqFdQ5Mk— 音楽好き左利き平凡耳 (@oK_Blonde_) September 13, 2024 いや,Jamie xx は正直よ…

安宅和人『イシューからはじめよ:知的生産の「シンプルな本質」』英治出版

いまさらこの手の本を読むことの毛恥ずかしさがあったけど,読んでおいてよかった。最近の自分の仕事を振り返りながら読み進めて,もっと効率よくできたはずと反省するばかり。そして本書の内容はビジネス向けに書かれたものだけど,学術的な研究の方法論と…

白井恭弘『外国語学習の科学:第二言語習得論とは何か』岩波書店(岩波新書)

〈リハーサル〉でも十分に効果があるっていうのは,実体験に照らし合わせても納得感あるな。自分がはじめて英語で面接を受けるってなったとき,直前にいろいろ想定して回答を考えていたけれど,そのときはじめて夢の中で英語喋ってたもんな……。 外国語学習の…

Kassa Overall《SHADES 3》

[ Kassa Overall のミックステープ。 ] なんだけど,知ったきっかけは Gilles Peterson のプログラム。 www.bbc.co.uk 冒頭はFloating Points + Pharoah Sanders『Promises, Movement 1』のリミックスで,Gillesもこれに対しては「だれかがこの曲のリミック…

Floating Points《Cascade》

Floating Points としては2019年《Crush》以来となるアルバム,ってことになると思うんだけど,その間リリースされてたシングルは聴いてて正直ピンとこなかったというか,なんか散漫で淡白な印象を受けていたんだけれど,こうやってアルバムでまとめて聴くと…

『BRUTUS 2024年 9月15日号 No.1015 おいしいコーヒーのガイドブック。』マガジンハウス

BRUTUS(ブルータス) 2024年 9月15日号 No.1015 [GOOD COFFEE おいしいコーヒーのガイドブック。] [雑誌]マガジンハウスAmazon こないだ近所のカフェ*1にいったら,仲良くしてるスタッフのI君が「このブルータスいいですよ!」って興奮気味に教えてくれた。 …

柳瀬典由『保険リスクマネージャーの視点と実務』中央経済社

リスクマネージャーの職務を語る上で,入口としてのブローカーと出口としてのキャプティブは,切っても切れないものだということが分かった(いまさらですみません)。あと人材の件ね,どなたかが書かれていたけれど,社内人材・社外人材(保険会社からの出…

菅野誠二『外資系コンサルのプレゼンテーション術:課題解決のための考え方&伝え方』東洋経済新報社

外資系コンサルのプレゼンテーション術―課題解決のための考え方&伝え方作者:菅野 誠二東洋経済新報社Amazon 序章 Set up プレゼンテーションの種類から「やること」「優先順位」を決める プレゼンテーションの目的を横軸にしてみると、単なる報告から、議論…

中野珠実『顔に取り憑かれた脳』講談社(講談社現代新書)

帯にこの著者(美人)の顔写真が載っている時点で勝ちじゃないかな,この本。中身的にはそれほど個性的なものはないというか,テーマに沿って研究結果を紹介していくというかたち。 顔に取り憑かれた脳 (講談社現代新書 2731)作者:中野 珠実講談社Amazon は…

カレーちゃん, からあげ『面倒なことはChatGPTにやらせよう』講談社

なるほど確かに有料版を使えばいろんなことができるんですね。『退屈なことはPythonにやらせよう』ってあったけど,そのPythonのコードすらChatGPTに書いてもらえば……。 面倒なことはChatGPTにやらせよう (KS情報科学専門書)作者:カレーちゃん,から…

W.S.モーム『世界の十大小説』岩波書店(岩波文庫)

池澤夏樹の本を本屋で目にしたとき,当然思い浮かべたのが,これ。この本自体は福田和也だったかの本で知ったような……。 この中に最初に紹介されてるのがトム・ジョーンズ『ヘンリー・フィールディング』だけど,それを読んでいるのを見た安藤さんが,「おま…

筒井功『日下を、なぜクサカと読むのか:地名と古代語』

日下を、なぜクサカと読むのか: 地名と古代語作者:筒井 功河出書房新社Amazon はじめに わたしは、大字(おおあざ、幕末から明治時代初めにかけての村の名だと考えてよい)でさえ、地名研究の資料としては広すぎることが珍しくないと思っている。 第一章「日…

池澤夏樹『世界文学を読みほどく:スタンダールからピンチョンまで』新潮社(新潮選書)

池澤夏樹の小説って読んだことがなかったけど,この本は面白かった。作家という立場から他の小説を読みほどく。場(世界)があって人物があって,それで小説は〈世界〉を描く,という話。作者の視線(神の立場なのか,登場人物たちと同一の地平にいるのか)…

田原洋樹『ベトナム語のしくみ』白水社

ベトナム語のしくみ《新版》 (言葉のしくみ)作者:田原 洋樹白水社Amazon i 1章 文字と発音のしくみ ベトナム語はおおよそローマ字どおりに読みます。といっても,[キアラ サイゴン]と日本語の発音で読んでも通じないでしょう。というのも,ベトナム語では…

温品廉三『モンゴル語のしくみ』白水社

モンゴル語のしくみ《新版》作者:温品 廉三白水社Amazon i 1章 文字と発音のしくみ モンゴル語のアルファベットには,ロシア語と同じキリル文字が使われています。ローマ字と同じ形のものもあれば,そうでないものもあります。 Өの文字はоの真ん中に横線が入…

大島一『ハンガリー語のしくみ』白水社

語順は日本語に似ているようなところもあり,でも動詞の活用をみるとやっぱり欧州系の言語だなと思うところもあり。 ハンガリー語のしくみ《新版》作者:大島 一白水社Amazon i では,本当にハンガリー語は日本語と似ているのでしょうか。確かに,英語よりは…