Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

野里紳一郎『イタリア語のしくみ』白水社

Duolingoばっかりやってると文法の知識があやふやでなんとなくで覚えちゃうんだけど,これ読んだらある程度知識が整理できて良かった。

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1章 文字と発音のしくみ

このgliの音は,イタリア語としても地域による差が大きいものの一つで、そもそも日本語の音の中にはない音なのです。一般的には[リ]で十分に通じるわけですが,[リ]の直前に[ッ]をいれる感じで[ッリ]と読む方が本来のgliの音に近くなりますので、発音のコツとして覚えておくとよいかもしれません。

2章 書き方と語のしくみ

イタリア語の語彙の中でも屈指の有名語“aiuole「花」”です。その理由は、たった6文字の話なのに、イタリア語の基本母音5つを全て含んでいるからなのです。

一方、長い語はというと……?/昔からこの手の挑戦者は絶えず出てくるので判定者を悩ませ続けているのですが,無茶な造語でもなく,研究者のほかは誰も知らないような専門語でもなく,一般的にイタリア語の語彙として認知されている最長のものは次の語です。/precipitevolissimevolmente/「大急ぎで」という意味をもつ文字数26の語です。読みにくいので,早口言葉として登場することもあります。

まずは次にあげる文字の羅列を見てください。/ 1) EIAORLNTS/2) ETOANIRSH/3) ENASRIUTO /これらを一瞥しただけで、何のことか見当がついたら,かなり西欧の言語に精通していると自信をもっていいと思います。1)はイタリア語,2)は英語,3)はフランス語に関係しているのですが……それでは説明しておきましょう。これらは各言語の中で用いられるアルファベット26文字を最もよく使われる順に並べたものなのです。トップ4の文字を見比べてください。イタリア語では4つの母音(E-I-A-O)が独占しています。ちなみにUは13番目なのですが,こうしたことはあとで文法を知るようになれば,なるほど,と合点がいきますのでちょっと覚えておいてください。

次にちょっとクイズです。 “funamboleschi”という語なのですが,しばらく眺めてみてください。この言葉はイタリア語の語彙の中でも変わり者として有名なのですが、その理由は何でしょうか。(…)実はこの語はすべて異なる文字でできあがっているのです(母音:uaoei,子音:fnmblsch)。10文字程度までならば他にもいくつか見つけることができるのですが,13文字ということでこの類の語のうち最長とされています。ちなみに意味はといえば「網渡り的」という意味です。

3章 文のしくみ

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1章 区別のしくみ

では「おいしいコーヒー」の場合はどうでしょうか。/il buon caffè おいしいコーヒー/この場合も形容詞が前に置かれています。でも,かたちにも注意してください。buonoの語末のがとれてbuonとなっています。コーヒーは男性名詞ですからèで結ばれる時にはbuonoのかたちでよいのですが,この例のように男性名詞を飾る場合にはbuonというかたちがふつうになります。

うっかりすると混乱してしまいそうです。定冠詞の方は規則通り,il→i,la→leなので問題ありませんが,名詞の方に注目すると,giornale もlezioneも同じように-eが-iになっています。つまり-eで終わる名詞は変化のかたちにおいても男性名詞,女性名詞で同じように変化させればよいことになります。

2章 人と時間のしくみ

ふつうイタリア語の動詞について考える時には,このように動詞の基本形の末尾3文字に注目し,それぞれ-areならare型,-ereとなっているならere型,同様に-ireならire型のグループに属する動詞として分類します。

現在とはつながりのない,いつ始まり,いつ終わったのかは気にしない継続中の過去ということから,これは「半過去」と呼ばれています。

過去について整理しておくことにしましょう。この「半過去」が線でとらえられた過去(いつ始まりいつ終わったのかは気にしない)だとするなら,近過去は点でとらえられた過去というふうに考えることができます。

イタリア語では,過去における区別はとても大切ですので、過去の話のときはそれが現在とつながりがあるものかどうか気にしてみてください。

3章 「てにをは」のしくみ

Aspettami! 私を待っていてください!/aspettareの命のかたちはaspetta (are型はreをとれば完成)。「私を」はmiですね。おや? 動詞の前ではなくて後ろに、しかも動詞にくっついています。お願いや命令を表す文ではこのように代名詞は動詞の末尾に結合させてしまうのです。アクセントの位置は変わらず[アスッタミ]です。

この動詞(piacere)は「もの」を主語にするのがふつうで,「~は気にいられている,~が好まれている」という意味なので,「サッカーは気にいられている」というのが直訳ということになります。そして「誰々にとって」を表す語を伴います。そういえば動詞の前のmiは「私を」と「私に」のどちらかの意味でしたから,ここでは「私に」になり,「サッカーは私に気にいられている」から,「私はサッカーが好きです」となっていたのです。奇妙な言い方ですが慣れれば何でもありません。

4章 数のしくみ
  • 1 uno ウーノ
  • 2 due ドゥーエ
  • 3 tre トレ
  • 4 quattro クアットロ
  • 5 cinque チンクエ
  • 6 sei セイ
  • 7 sette セッテ
  • 8 otto オット
  • 9 nove ノーヴェ
  • 10 dieci ディエーチ
5章 実際のしくみ
参考図書ガイド

これを機会にイタリア語を本格的に勉強してみたい。と思われているみなさんも多いのではないのでしょうか?またそうであることをひそかに願っているのですが,まずは手頃な辞書が必要になるはずです。

上記の2冊ならどちらでも,イタリア語の学習をスムーズに始めることができるだろうと思われます。

イタリア語の文法を中心に継続して学習してみたい場合,是非とも手においておきたいオーソドックスな参考書,および練習問題集,副読本として,

などを推薦しておきます。

また「ことば」だけではなく,イタリア文化にたいする全般的な興味をも満足させてくれる古典や読み物として,

いずれも読書範囲を拡げ,イタリア文化について考えていく際のよい契機となってくれるはずです。