Dribs and Drabs

ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

芸術 The arts

美術,音楽,演劇,スポーツ,諸芸,娯楽

柴田南雄「印象派以降」,『柴田南雄著作集 1』国書刊行会

柴田南雄はもちろん最近『音楽史と音楽論』を(ようやく)読んで興味を持ったからなんだけど,なんで「印象派以降」を読もうと思ったんだっけな。とにもかくにも,こっちの方が圧倒的に面白い。文章量はやっぱり多い方が面白い。ドビュッシー以降の〈純音楽…

佐々木敦『ニッポンの音楽』講談社(講談社現代新書)

ニッポンの音楽 (講談社現代新書)作者:佐々木敦講談社Amazon はじめに 本書は、一九六〇年代の終わりから現在までに至る、この国のポピュラー・ミュージックの流れ、すなわち「ニッポンの音楽」の歴史を、出来るだけコンパクトに通覧してみようとするもので…

柴田南雄『音楽史と音楽論』岩波書店(岩波現代文庫)

柴田南雄のスケールの大きさ,視野の広さがよくわかる一冊。『若い読者のための音楽史』と似たような本でありながら,モノが違う。日本人が日本人に向けて書いている――放送大学での講義がベースになっている――ということもあって,日本の歴史を軸に据えなが…

シャーロット・マリンズ『若い読者のための美術史』すばる舎

意欲的な本だとは思うけど、そんなに入り込めなかったな。「知ってることと知らないこととのバランス」って話があるけど、本書に書かれていることは自分にとっては知らないことがほとんどなので、それが入り込めない理由のひとつだと思うけれど、でもリヒタ…

Chilly Gonzales《Gonzo》|ラップのこと,リチャード・クレイダーマンのこと

自分もまさにソロピアノのアルバムで Chilly Gonzales を知って,なもんだから「静謐で内向的で……」みたいな人物をイメージしていたんだけれど,ロンドンで10年ほど前に彼のライブを観にいったとき,その先入観とは裏腹に,声の大きなエンターテイナーである…

ロバート・フィリップ『若い読者のための音楽史』すばる舎

全体通して面白く読める,というわけではないけれど,後半になるにつれて――つまり自分が割と知っているクラシックとそれ以降の音楽――面白くなってきた。特に現代音楽の作曲家,あるいはその作品と大衆との断絶みたいなところが。ワールドミュージック的なも…

マイケル・E・ヴィール『DUB論』水声社

この本の存在を知ったのはこのツイートのおかげ: 『DUB論』は濃密で分厚いので読み進め辛いですが、「最終章 エレクトロニカ、リミックス文化、そして世界のポピュラー音楽を変えるジャマイカ」は、パンク、ポストパンク、UKロック、ざっくり欧米としての「…

Caribou @ Spotify O-EAST, 2024.10.14

現代のエレクトロニカ御三家といえば Floating Points / Four Tet / Caribou だと思うし,特に Floating Points《Crush》が出てからは自分の中でその順番だったけど,最近気づいたら自分の中で Caribou が一番になってた。ここ2年,ジムの中で流すのはもっぱ…

加藤一陽『音楽メディア・アップデート考:批評からビジネスまでを巡る8つの談話』リットーミュージック

柳樂光隆さんの『Jazz The New Chapter』について知りたくて手にとっただけだけど,思いのほか収穫が多かった。 まずロッキンオンの話。鹿野さんが『Japan』やりたかったわけじゃないけどロッキンオンに入社したとかいう話があったけど,自分も『Cut』の編集…

Caribou《Honey》

ということで Caribou《Honey》がフルリリースされた。ダンサブルでハッピーでもう最高,としか言いようがないんだけど,ここで本人が語っているように, ‘Honey’ is out now. i hope it brings you joy. x d https://t.co/zVMM569DtZ pic.twitter.com/MQ0Xa…

Radio Head《Kid A》

数日前,「24年前のこの日にこのアルバムがリリースされた」みたいな感じで,Twitter上に《Kid A》が溢れてた。 去年の暮れだったかな,Apple Musicが過去の名盤のTop100をランキングしてて,この《Kid A》も入っていたんだけど,それより《OK Computer》の…

Jamie xx《In Waves》〈Baddy On the Floor〉, Keni Burke〈Let Somebody Love You〉

ツアーも発表されて豊洲にやってくることが判明した Jamie xx。ほんとクセになるテクノディスコサウンドで,最近めっちゃ聴いてます。Gilles Peterson on BBC6 のプログラム*1〈Baddy On the Floor〉が流されて,「あれ,また同じ曲につなぐの?」と思ったら…

Various Artits《Red Hot & Rio》

大学生のとき,大学にはろくに行かずに,むしろ近くのポール・スミスに行っては店員さんと駄弁っていたんだけど(いまにして思えばウザい学生でしかない),そのときの店員のひとりだった田口くんに勧められたのが,このアルバム。 Red Hot プロジェクトとか…

BIGYUKI @ Blue Note Place, 2024.9.20

こないだ代々木上原OPRCTではソロライブだったけど,今回はバンド。 とにかくBIGYUKIが演奏してて楽しそう。このメンバーでバンドとして演奏できていることが楽しい,そんな感じがひしひしと伝わってきた。 ドラムのジャリスも楽しそう。ニコニコしながら叩…

Call Super, Julia Holter〈Illumina - Doves of Discipline Mix〉

2023/10/7。 www.bbc.co.uk この日が自分にとって Call Super に出会ってしまった,Call Super を知ってしまった日になりましたとさ。(よくよく調べたら2000年に本人がこのGillesのプログラムに出てて,それを聞き逃したオレなんなんだって感じなんだけど)…

Four Tet《Three +》

ほんとにこの人の言うとおりでね…… Four Tet、floating points、Jamie XX、Caribouが同じ年にアルバム出すなんて、四皇の頂上決戦みたいやな。 pic.twitter.com/awAqFdQ5Mk— 音楽好き左利き平凡耳 (@oK_Blonde_) September 13, 2024 いや,Jamie xx は正直よ…

Kassa Overall《SHADES 3》

[ Kassa Overall のミックステープ。 ] なんだけど,知ったきっかけは Gilles Peterson のプログラム。 www.bbc.co.uk 冒頭はFloating Points + Pharoah Sanders『Promises, Movement 1』のリミックスで,Gillesもこれに対しては「だれかがこの曲のリミック…

Floating Points《Cascade》

Floating Points としては2019年《Crush》以来となるアルバム,ってことになると思うんだけど,その間リリースされてたシングルは聴いてて正直ピンとこなかったというか,なんか散漫で淡白な印象を受けていたんだけれど,こうやってアルバムでまとめて聴くと…

ジョン・フェインスタイン『天国のキャディ』日本経済新聞社

ブルース・エドワーズのことはうっすらと知っていた――主にぺブルの17番でトム・ワトソンがチップインしたとき「Told you so!」と言った相手として――つもりだけど,彼が今のキャディーの姿のパイオニアだったことは知らなかったし,ターンベリーの〈Duel in t…

ひのまどか『バルトーク(音楽家の伝記 はじめに読む1冊)』ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスミュージックメディア部

借りるとき全然気づかなかったけど,これ大きな子供向けの伝記だわ。QRコード読み取って音楽が実際に聴ける仕組みにしてるのはいいと思う。 音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク (音楽家の伝記はじめに読む1冊)作者:ひの まどかヤマハミュージックエン…

アレックス・ハッチンソン『限界は何が決めるのか?:持久系アスリートのための耐久力の科学』TAC株式会社出版事業部

著者は,極端とも思える方法で人間の限界を押し広げていこうと突き進んだ人たちの物語を織り交ぜながら,過去から現在までの科学的知見を駆使し,人間の耐久力を決めるものや,痛み,筋肉,酸素,暑さと熱,のどの渇き,エネルギーといった肉体に影響する要…

Mark McClusky『Faster, Higher, Stronger: How Sports Science Is Creating a New Generation of Superathletes--and What We Can Learn from Them』

Faster, Higher, Stronger: How Sports Science Is Creating a New Generation of Superathletes--and What We Can Learn from Them (English Edition)作者:McClusky, MarkAveryAmazon 「自分のライバルより早く学べる能力は,競争上の優位性を保つ唯一の道…

石井直方, 肥田岳彦『筋トレのための人体解剖図』成美堂出版

筋トレのための人体解剖図成美堂出版Amazon 「本書は,精密なイラストと図版を用いて,主な筋力トレーニングとそのトレーニングによって鍛えられる筋肉を,解剖学の側面からも理解できるような構成となっています。」 筋肉のところは確かにいい。日本語名に…

ブラディミール・ザチオルスキー, ウイリアム・クレーマー『筋力トレーニングの理論と実践』大修館書店

筋力トレーニングの理論と実践作者:ザチオルスキー,ブラディミール,クレーマー,ウイリアム大修館書店Amazon タイトルの通りで,理論と実践とが包括的に書かれている。インターネット上の情報に振り回される暇があったら,こういう本を腰を据えて読みたいもの…

Alan Shipnuck『LIV and Let Die』Avid Reader Press

LIV and Let Die: The Inside Story of the War Between the PGA Tour and LIV Golf (English Edition)作者:Shipnuck, AlanAvid Reader Press / Simon & SchusterAmazon Foreword Says Jacobsen today, "People have asked me a lot lately, 'Why is Greg No…

フラン・ボッシュ『コンテクスチュアルトレーニング:運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション』大修館書店

コンテクスチュアルトレーニングー運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション作者:フラン・ボッシュ大修館書店Amazon 帯に小平奈緒が載っていたから興味をもって読んでみたものの,半可通の素人が手を出すべきものではなかった……。 78…

河森直紀『競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方』ナップ

競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方作者:河森 直紀ナップAmazon 〈練習〉と〈トレーニング〉とを混同するなって話で,特に著者が〈誤った競技特異的トレーニング〉と呼ぶもの――つまり練習に近づけたトレーニングあるいはトレーニングに近づけた…

ヘルムス, バルデス, モーガン, 八百『肉体改造のピラミッド 栄養編』AthleteBody

肉体改造のピラミッド 栄養編作者:Eric Helms,Andy Morgan,八百 健吾AthleteBody株式会社Amazon はじめに ウェイトトレーニングを通して筋力や筋量を伸ばし,体力強化,体組織改善,健康増進などを目指すとき,栄養は避けては通れないテーマになります。 特…

Hank Haney『The Big Miss: My Years Coaching Tiger Woods』

The Big Miss: My Years Coaching Tiger Woods (English Edition)作者:Haney, Hank D.Crown ArchetypeAmazon 1. The Last Time Although it's commonly thought that Tiger plays go-for-broke golf and tries the most difficult shots with no fear, it's …

リチャード・A・シュミット『運動学習とパフォーマンス:理論から実践へ』大修館書店

運動学習とパフォーマンス: 理論から実践へ作者:リチャード・A. シュミット大修館書店Amazon 第1章 運動パフォーマンスと学習への入門 スキルに関する知識の応用 スキルの定義 スキルの多くの要素 スキルの分類 パフォーマンスと学習の理解 第I部 人間の熟練…