Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

佐藤康『フランス語のしくみ』白水社

そこそこ知っている言語だと,さらっと眺めるだけになってしまう。

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1章 文字と発音のしくみ

(語尾の子音)このようにc,f,l,r は発音されることが多いと考えてください。

「デニム」という生地の名前。実はこれ,南フランスのNîme「ニーム」という町が産地だったので de Nîme と呼んだのが由来だそうです。

「オー・エス」と運動会の網引きで掛け声をかけた覚えのある人もいるでしょう。あれは OS ではなくて Oh! Hisse! というフランス語が日本語になったものです。hisseは「綱を引け」という意味。帆船の船乗りたちが帆を上げるときの掛け声です。

フランス人の戸籍上の名前には,名と姓のあいだにミドルネームがあり,父方,母方の祖父母の名前が入りますが,日常生活ではミドルネームが用いられることはまずありません。

2章 書き方と語のしくみ

上手にフランス語を発音するためには,音が上がったり下がったりしないように,なるべくなだらかに,平板に発音するくせをつけてください。

3章 文のしくみ

否定文を作る ne と pas のうち,ne のほうはくだけた日常的な会話では省略されてしまうことがあります。つまり,Marie chante pas. という形になるのです。しかし,私たちとしてはまずは標準的なフランス語に慣れていこうと思いますから,これを真似する必要はありません。でも,映画のセリフなどにはこの形がよく出てきます。

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1章 区別のしくみ

日本は男性グループなのにフランスは女性グループなのですね。これには,そもそも国の名前は女性グループになるのが原則だったのですが,15世紀くらいまでに人々にとってなじみがなかった国あるいはまだ存在していなかった国はその名前が外来語として扱われ,男性グループにまとめられた,という経緯があるようです。

2章 人と時間のしくみ

こういうふうに -er で終わってる語がたくさん見つかると思います。そのほとんどは動詞です。フランス語にはだいたい3,000くらいの動詞があると言われていますが,そのうちの約9割の動詞は,こういう形をしています。

おそらくフランス語の辞書でいちばんたくさんのページを使って説明されている動詞 faire を紹介しましょう。この動詞は英語なら do と make というふたつの動詞が持つ意味を,我が身ひとつで引き受けている動詞なので大切です。

soyez は être の命令の形です。vous êtes という変化だったのですが,êtes という形は使わないのですね。

動詞のしっほに -rai[レ]という部分がつきましたね。これが未来のしるしです。この形は主語がjeの場合の形です。主語が変わるとしっぽも変化します。

こういう動詞は〈être+過去分詞〉という形で過去形を作ります。/こういう動詞は基本的なものでは、ほかに aller「行く」や venir「来る」など、約15個ほど、出かけたり、行ったり来たりと、これらの動詞は「場所の移動」に関係しています。

3章 「てにをは」のしくみ
4章 数のしくみ
  • 1 un アン
  • 2 deux ドゥ
  • 3 trois トゥロワ
  • 4 quatre カトゥル
  • 5 cing サンク
  • 6 six スィス
  • 7 sept セットゥ
  • 8 huit ユイットゥ
  • 9 neuf ヌフ
  • 10 dix ディス
5章 実際のしくみ
参考図書ガイド

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フランス語のしくみ 新版 | NDLサーチ | 国立国会図書館