吉村大樹『トルコ語のしくみ』白水社

作者:吉村大樹
白水社

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1章　文字と発音のしくみ

Zaman sana uymazsa, sen zamana uy.／これはトルコ語の格言の一つで，「時がお前に合わぬなら，お前が時に合わせよ」，つまり物事にはタイミングや状況がよくない時があるけれども，そのときは自分の行動を改めるべきだ，といった意味を表します。

現在のトルコ語は，私たちもよく慣れ親しんでいるローマ字（ラテン文字とも言います）を使って表します。読み方もかなりシンプルで，基本的にはローマ字で書かれたそのままのとおりに発音します。

実はトルコ語では，cという文字は常にジャ行の子音を表します。

ます。この「ひげ」つきのçという文字も立派なトルコ語の文字の一つで，日本語の［チ］の音に近い音を表すと考えるといいでしょう。

sの下に，ある「ひげ」çと同じようなものがついている，şという文字がありますね。今度はどう発音すればいいでしょうか？　そう，実はこの文字は日本語の［シャ，シ，シュ...］の音を表します。

トルコ語のğという文字は，どうやら他の文字とはちょっと違ったはたらきがあるということのようです。つまり，ある母音のすぐ後ろに来て，その前の母音を伸ばして発音するか，または2つの母音にはさまれて，その2つがなめらかに発音されるようなはたらきをするかのどちらかだと考えるとよいでしょう。

2章　書き方と語のしくみ

オスマン帝国時代以降，ほとんどのトルコの人たちには名字がなかったのですが，トルコ共和国が成立した後，1934年に名字創設法という法律が定められ，すべてのトルコ共和国の国民が名字をもつことが決められました。当時の法律の内容を見てみると，この法律が施行されてから一定の期間内に名字を決めないと罰金が課されるといったことや，子供の名字を決定する義務と権利は基本的に父親のほうにある，といったことが書かれています。これも，トルコ共和国成立当初の新しい社会を作り出そうという動きの1つだったと言うことができるでしょう。

トルコ語の語の作り方について，その一番大切な特徴についてお話ししておきたいと思います。その特徴とはズバリ，トルコ語は語の本体に，「部品」がいくつかくっついてできあがる。ということです。／「部品」はその語の意味をよりはっきりさせる，または新しい語を作り出すために使われます。

3章　文のしくみ

トルコ語の語の並び方が，日本語と同じ順番でいいのなら，それほど苦労せずに文のしくみをマスターできそうです。実際には，細かいところではさまざまな違いが日本語とトルコ語の間にはありますが，それでもトルコ語の語の並び方は，基本的には日本語とよく似ているといっても，決して言い過ぎではありません。

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1章　区別のしくみ

です。第I部「文のしくみ」でも見たように，どうやらトルコ語と日本語は語の並び方がよく似ているようです。ちなみに，「家のように大きい」のような言い方も，やはり日本語とよく似た並び方をしています。

2章　人と時間のしくみ

動詞のしくみとは，大まかに言えば「誰が」するかということ，そして「いつ」するかということを表すしくみと言うことができるかもしれません。そこで，「人と時間のしくみ」というタイトルになった。というわけです。

3章　「てにをは」のしくみ

トルコ語のしくみをこれまで見てきて，どのような語の変化においても，共通しているのは本体に部品が次々につながっていくことだ，とお気づきになった方も多いのではないかと思います。実際その通りなのですが，気をつけてほしいことが1つあります。それは，部品を語の本体につけるときには，間に「接着剤」，つまり子音を何かひとつ入れないといけないことです。

トルコ語には，ここで紹介したもの以外にもこのように語の部品としてではなく，自分自身が1つの語として，名詞と他の語との関係を表すものがあります。このような語を，「名詞の後に置く語」，つまり後置詞と呼ぶことがあります。後置詞を覚えると，トルコ語の表現の幅がさらに広がること間違いなしです。