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1章 文字と発音のしくみ
モンゴル語のアルファベットには,ロシア語と同じキリル文字が使われています。ローマ字と同じ形のものもあれば,そうでないものもあります。
Өの文字はоの真ん中に横線が入った形をしています。ギリシア文字のθ(シータ)に似ていますが,日ほど縦に長くありません。[オ]の音を表します。これまで「オ」の音を表す文字は2つでてきました。оとүです。өで3つめですね。өは,оよりは口の開け方を小さく,үよりは大きめに開けます。口の形はやや三角形ぎみになります。そのため,「オ」と「ウ」の中間,さらにはネイティブの発音をよく聴くと「オ」と「ウ」と「エ」のあいだというのが正確なところです。このөは世界の言語のなかでも比較的珍しい母音のようです。
хは語の最後に来ると,カタカナではとても書き表せないような響きになります。これこそがモンゴル語らしさを演出する代表的な音のひとつであると言えます。口の奥の方で息を強く摩擦して出す音です。「ク」「ケ」「へ」「ホ」とどれにも聞こえるような音を発するとよいでしょう.
最近日本のテレビでも,モンゴル人がインタビューされている場面が放映されることがあります。それを耳にした私の知人が「モンゴル語って,アイウエオの母音がはっきり聞こえなくて,口のなかで子音だけをコチョコチョッと言っているように聞こえますね」との感想をもらしていました。/たしかにそうです。これこそがモンゴル国の標準語の大きな特徴といえます。
2章 書き方と語のしくみ
モンゴル人がだれかを名前で呼ぶときは,その人の姓と名のうち,かならず名の方で呼びます。公式的な改まった場面などでは両方を言うこともありますが,姓の方だけを言うことは絶対にありません。/なぜでしょう。姓の方だけ言うと,その人のお父さんの名前を呼ぶことになるからです。つまり,現代のモンゴルには,先祖代々伝わってきたいわゆる姓=苗字というものがないのです。/上の説明で便宜的に姓としたのは,実は父親の名前だったのです。公式的な文書などの名前の欄には「父親の名前+本人の名前」という形で記入されます。
モンゴル国では,1940年代に公用文字がキリル文字に切り替えられるまで使われていました。中国の内モンゴル自治区やその周辺に住んでいるモンゴル民族は現在でも,このモンゴル文字を使用しています。内モンゴルでは,この民族文字による書道も盛んです。
3章 文のしくみ
日本語を母語とする人がモンゴル語を学ぶときの有利な点は,語順です。語順がよく似ているので,日本語と同じ感覚で語を並べていけば,モンゴル語の文ができあがります。
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1章 区別のしくみ
2章 人と時間のしくみ
3章 「てにをは」のしくみ
4章 数のしくみ
- 0 тэг テグ
- 1 нэг ネグ
- 2 хоёр ホヨル
- 3 гурав ゴロウ
- 4 дөрөв ドルウ
- 5 тав タウ
- 6 зургаа ゾルガー
- 7 долоо ドろー
- 8 найм ナェム
- 9 ec イュス
- 10 арав アロウ
5章 実際のしくみ
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