『人体大全』のビル・ブライソン*1の著作。やっぱりこの人の本は面白い。
訳者あとがきにあったけれど,とある評論家はビル・ブライソンのことを「彼の才能は隅っこにあるつまらない些事にスポットをあて,しかもそれを面白おかしくねじくった角度から見つめることだ」と語ったとか。その人はネガティブな意味を込めてそう語ったらしいけれど,だからこそブライソンの本は面白いんだよな。小さなことがら(に潜むリアリティー)を見逃さず,それを本人が面白がっている。
「知りえたすべてのこと」というタイトルとはなかなか絶妙。なぜなら,シェイクスピアについては知られていることが意外にも本当に少ないということがよく分かるから。だいたい肖像画からして,それと思われるものは3点あるものの,それが本当にウィリアム・シェイクスピアのものかどうかは判然としていないのだから。
シェイクスピアについて知られていること/分からないことを軸に語られるが,彼が生きた時代についても生き生きと語られる。特に17世紀初頭のロンドンね。シティが城壁で囲われていて,その中の様子,外の様子が,目に浮かぶように描かれている。これが個人的には面白かった。
932.5