自分は何を読まされているんだろう,という気になる。
『悪魔の辞典』風とでもいえばいいのか,あいうえお順に並べられたさまざまな用語・概念・人物――「アキレスと亀」「エントロピー」「Q.E.D.」など――に森毅がコメントをつけて,安野光雅がイラストを描いている。1項目1ページ。だけど,『悪魔の辞典』ほどの毒も機知もない。
たとえば「Q.E.D.」:
「これぞまさに,われわれの証明せんとすることではあった」という,決まり文句のラテン語の頭文字。証明の最後に,「証明終わり」のしるしにつける。/もっとも,長い証明をたどってきて,最後にQ.E.D.と来ると,うむを言わさず説きふせられた気分で,ちょっともわかった気にはならない。
これだけ。だから何? 森毅という人物が重宝されてそのキャラクターが好まれていた時代であれば,こういう文章にも何らか意味はあったのかもしれない。
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