2013年にミネアポリスで開催された CAS の annual meeting に出席したとき,breakout session のなかで CAS の運営側とメンバーであるアクチュアリーたちとのあいだで試験制度に関するディスカッションが行なわれていたのがとても印象的でした。たぶん日本にはない光景なのだろうなぁと。
で,最近自宅に届いた CAS のニュースレターである「actuarial reveiw」最新号(Jan-Feb 2016)によると,CAS の president も直近の annual meeting でアクチュアリーたちから CAS と SOA との関係にまつわる質問をいろいろと受けたようで,それらに対する考え方を披露していました。
- 「連合軍」設立のオファーを CAS が断り,そして SOA が自ら GI track を立ち上げて以降,CAS と SOA との関係性は向上している。明らかに敵対関係にあったものが,現在は緊張緩和(détente)と呼べる状態になっている。その理由の一部には,単に時間が経ったことと,リーダー層の交代が挙げられる。
- 現 President が「President-Elect(次期会長)」の座についたとき,SOAのカウンターパートである Craig Reynolds に連絡をとり,一対一のインフォーマルな対話の場を設定した。それがとても生産的だったので,現在では月イチで定期的に開催している。
- SOA のことは「外部の脅威」ではなく「競合」として見ている。「彼らは悪い人間ではなく,ただわれわれとは違う物の見方をしている」。競い合うことは悪いことではない。事実,そのおかげで,CAS はさまざま方面で進歩を遂げてきた。
- SOA を競合として認識することはまた,彼らの行なっていることに注意を払いすぎないことを意味する。もちろん彼らの活動をモニターするが,CAS としてはただ自らの行なっていることの質を高めるのみである。「Appleが企業として成功したのは,Microsoftが行なっていること日々観察したからではない」
- CAS は損保分野において,マーケットシェアの観点から支配的な位置にあり,また強いブランド力を持っている。それゆえ,SOA がその位置に取って代わることはない。
- なぜ SOA と合併しないのか? 組織というものはある程度歴史の産物であり,時間を経ていまのかたちがつくられてきた。だからといって,今の状態がベストであるという保証はない。現時点では,CAS は SOA と合併するべきではないと思うし,それがベストな選択だとは思わない。もちろん,状況が変わる可能性はあるし,そうなれば考えを改めることもあるだろうが。