CASとIFOAとのワーキンググループが発表したレポート。再保険のサブミッションに含まれている情報と,再保険アンダーライターがプライシングに求める情報とのあいだには,開きがある。そのアンダーライターのニーズを理解し,適切な情報を提供することで,最終的には元受会社の市場での競争力が高まるのではないか,ということのようです。
ANALYZING THE DISCONNECT BETWEEN THE REINSURANCE SUBMISSION AND GLOBAL UNDERWRITER'S NEEDS
http://www.casact.org/research/dare/index.cfm?fa=view&abstrID=7159
概要
- 元受会社の引受に関する情報と,その後の再保険に提供される情報,そして再保険の値段とのあいだには,直接的な相関関係が存在する。
- 当然ながら,再保険アクチュアリーなりアンダーライターなりがプライシングに必要な情報を得られないと,彼ら(アクチュアリー/アンダーライター)はアサンプションを置く必要があり,それが再保険のプライスに影響を与える(多くの場合は値段が高くなる)。
- 元受会社が重要だと考える情報は再保険者は重要だとみなさないかもしれないし,その逆もしかり。この研究の目的は,グローバル再保険者がベストなプライシングを提供するために望む・必要な情報をつまびらかにすることである。
- 再保険者が望む情報を元受会社が提供できれば,それは再保険価格の低下につながり,ひいては元受価格の低下につながるので,元受会社の競争力が高まる。そういう意味では,このリサーチは,再保険者よりも元受会社を利するものであるといえる。
- 適切なプライシングのためには,サブミッションはExposure RatingとExperience Ratingの両方を行なうに足る情報を含む必要がある。それらふたつのRatingは何らかの信頼度を用いてブレンドされるが,その信頼度はそのもとになったここの情報・要素の信頼度に依る。
- Exposure Ratingにあたって,サーベイの回答者が最も有用だと回答したのは以下の4アイテム:
- In-Force Risk Profile (banded)
- Individual risk listing (all cat/non-cat exposures) → Catの場合はEDMにあたるかallであるのがポイント。ある閾値より上だけの情報は,あまり重宝されない
- Historic loss ratios
- Written explanation of risk → いわゆるnarrativeの部分
- Experience Ratingの場合は,
- Large loss listing
- Historic Premium
- Large Loss Claim Description → cat/non-catのフラグも
- Historic Rate Change
- Link of actual losses to amounts of insurance
- Risk Profileに関する補足的な説明(sum insuredの定義,1リスクが何を意味するか,任再の有無,PMLが使われている場合はその推定方法,など)は,80%以上のケースでプライシングに定性的・定量的な影響を与える。
- Exposureの指標であるMPL, PML, MFL, EML, TIV…いろいろありすぎて定義があいまい。
- 日本の再保険マーケットのサブミッションは,PMLの推定がとても普及しているという点で,非常にユニークである。