Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

大栗博司『強い力と弱い力:ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く』幻冬舎(幻冬舎新書)

『重力とは何か』はいまいちピンとこなかったけど,こっちは面白く読めた。自分にとって知らない話が多いからかもしれない。

  • ヒッグス粒子の意義を理解するには,強い力と弱い力について知る必要がある。
  • 太陽の中では,弱い力によって,二つの陽子が重水素の原子核に変わる。弱い力は「弱い」ので,この反応はなかなか起きない。ゆえに,太陽の寿命は長い。
  • 原子核の質量は,それを構成している陽子と中性子の質量の和とみなせる。そして,陽子や中性子の質量のほとんどが,クォークを閉じ込める「強い力」のエネルギー。E=mc2により,エネルギーと質量は本質的に同じ。
  • 原子の安定性は,クォークの質量の違いによって保証されている(中性子の質量は,陽子と電子の質量の和よりも大きい)。
  • 粒子の種類を変える働きを「力」という言葉で表現する。
  • 超電導状態の物体には磁力線が入り込めない。超電導物質の中では「光が重くなる」。

たとえ話も適切で分かりやすく,例えば,「クォークは6つの学年と3つのクラスに分かれており,強い力は各学年の赤・青・緑の組の色を変えるが,弱い力は学年を変える」など。

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強い力と弱い力 : ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎): 2013|書誌詳細|国立国会図書館サーチ