どういうかたちでこの本に出会ったかまったく覚えてないんだけど,でもとても面白いと思ったなぁ(その証拠に今でも保持している)。
「はしがき」で著者が述べているように,本書は「そもそも住宅設計を学ぶ建築系の学生たちに向けて書き始められた」ものの,そのうち「もう少し住宅設計の根本にまで踏み込んだ解説を加えれば,『設計のプロとして実務を始めたばかりの若い人たちの役にも立つのでは?』と軌道修正」をし,さらに今度は「『もしかすると,これから自宅を建てようとする一般の人にも,これくらいの知識は身につけておいてもらったほうがよいのでは?』という余計なお世話までしたくなっ」た結果できあがったものであると。
自分はそのどれにも当てはまらないんだけど,たとえばキッチンを設計するにあたってシンクと調理場とガスコンロと冷蔵庫の位置をどう配置すれば使い勝手がいいかとか,駐車場をつくるにあたって車のサイズに対して縦横どれぐらいの余裕を見るべきか,詳細でかつ具体的なケーススタディーを知るにつれて,どの世界でも経験に裏打ちされたナレッジというものがあるんだなぁという,ある意味当たり前の事実を痛感するわけです。
それにしても,この著者は説明がうまいし,アナロジーもイラストも秀逸。
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