Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

小宮山博史『明朝体活字:その起源と形成』グラフィック社

「明朝体」という印刷・表示用書体は、誰が・いつ・何のために作ったのか。明朝体活字が東西の国際ネットワークから立ち上がり、日本に導入・洗練されていく過程を、豊富な活字史料と共に解説。貴重な活字見本もほぼ原寸収録。

ディープな内容とマッシブなボリューム。こちゃ絶対途中で挫折するだろうなと思ったけど,意外にも読み進められた。著者の記述が丁寧・丹念なのと,時折挟み入れられる著者の個人的な思い出や描写のおかげかな。あと多数の図版。

著者の経歴は以下の通り。

1943年新宿生まれ。國學院大学文学部卒業。元佐藤タイポグラフィ研究所所員、元書体設計者。著書に「日本語活字ものがたり」など。

明朝体は欧州から逆輸入されたというか,キリスト教の布教のために作られたときいて,なるほど納得。

分合活字。そんなのがあるとは知らなかった。

それにしても,この内容とボリュームとで税抜き4200円って,安くないか?

そうそう,フランスでは活字を作った人や掘った人の名前がしっかりと記録に残されているのに対して,日本はそうではないという著者の指摘。いかにも日本っぽいというか。

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