Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

デイヴィッド・スローン・ウィルソン『みんなの進化論』日本放送出版協会

装丁も文章も翻訳もちゃんとしてて,参考文献もボリュームしっかりしているのに,なんだか物足りない。進化論にまつわる興味深いエピソード――しかしどこかで聞いたことがあるような話――が多少の味付けとともに多々語られる。が,深いところには入っていかない(ような印象を受ける)。

物足りないのはきっと,本書が「進化論へ興味を持たせること」を主眼において,しかも「国民の半数近くが『人間は前の段階の種から発展したのではない』と思っているアメリカの読書を意識して書かれている」からだと思う。

著者の興味関心人柄を反映するように話題は多岐にわたるのだが,それがまた浅薄な印象を与える――少なくとも僕には。「これは自分の手柄を自慢してるのではなく,進化論がの手柄だ」というような表現がちょいちょい出てくるのだが,それが逆に鼻につく――のは,僕の性格が悪いからだ。

467.5

みんなの進化論 (日本放送出版協会): 2009|書誌詳細|国立国会図書館サーチ