装丁も文章も翻訳もちゃんとしてて,参考文献もボリュームしっかりしているのに,なんだか物足りない。進化論にまつわる興味深いエピソード――しかしどこかで聞いたことがあるような話――が多少の味付けとともに多々語られる。が,深いところには入っていかない(ような印象を受ける)。
物足りないのはきっと,本書が「進化論へ興味を持たせること」を主眼において,しかも「国民の半数近くが『人間は前の段階の種から発展したのではない』と思っているアメリカの読書を意識して書かれている」からだと思う。
著者の興味関心人柄を反映するように話題は多岐にわたるのだが,それがまた浅薄な印象を与える――少なくとも僕には。「これは自分の手柄を自慢してるのではなく,進化論がの手柄だ」というような表現がちょいちょい出てくるのだが,それが逆に鼻につく――のは,僕の性格が悪いからだ。
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