Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

リード・ヘイスティングス, エリン・メイヤー『NO RULES:世界一「自由」な会社、NETFLIX』日経BP

内容というか目指している企業/組織像として『ティール組織』*1に近いと想像するんだけど,こっちの方が圧倒的に面白い。コンサル様が真面目腐って圧倒的なボリュームで講釈垂れて聞いたこともない名前の会社の事例を聞かされるより,自分が知っててそのサービスを利用している会社のトップが自らの失敗談をふんだんに交えながらストーリーを語っていく方がいいもんね。

というとで,Netflixという組織における〈自由と責任〉とは,例えば休暇規定がないこととか,出張旅費と経費の承認プロセスがないこととか,意思決定にかかわる承認が一切不要とか,情報は――インサイダー取引に繋がるものでも――オープンに共有とかいう数々の〈自由〉があり,それにともなう〈責任〉――それらの判断はNetflixのためになるか,賭けに出て失敗したとしてそこから学べるものがあるか――があり,それを下支えするものとして〈コンテクスト〉の共有――著者はこれを〈コントロール〉による管理と対比している――があり,さらに組織内の上下左右からの率直で建設的な〈フィードバック・サークル〉があるし,さらに大前提として「リーダーの最優先目標は,最高の同僚だけで構成される職場環境を整えること」がある。〈ブリリアント・ジャーク〉――有能でも周囲に悪影響を与えかねない人――は,きっぱりと排除させられるシステムがあるのだ。

Netflixにおけるフィードバックのガイドライン〈A4〉は参考になりそう:

  1. 相手を助けようという気持ちで(Aim To Assist)
  2. 行動変化を促す(Actionable)
  3. 感謝する(Appreciate)
  4. 取捨選択(Accept or Discard)

前者ふたつはフィードバックを与える際,後者ふたつはフィードバックを受ける際のガイドラインになる。さらにNetflixがグローバルな組織になるにあたり,5つめの〈A〉として「適応(Adapt)」が加わった。

007.35

NO RULES : 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日経BP日本経済新聞出版本部): 2020|書誌詳細|国立国会図書館サーチ