Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

影山夙『車選びの指針:技術者の車評価法』講談社(ブルーバックス)

類書を他に知らないからあれなんだけど,この本,めっちゃ面白いじゃないですか。版元で品切れになっててるのが非常にもったいないし,中古が高値で取り引きされているのがよく理解できる。

技術者目線でスパスパ記述されているのがなんとも心地良いんだけど,とにかく痛快なのは,

ふつう,自動車の解説書というと,まず構造の解説からはじまって,次に難しい理論に入っていくケースが多いのですが,自動車の存在意義からすると,壊れずに速く走るとか,よい乗り心地であるといった機能的欲求のほうが先にあって,構造はそれを満足するように考え出されてきたものです。極端な言い方をすると,機能をきちんと満たしていれば構造はどうでもいいともいえます。(pp.5-6)

という「まえがき」内の一文。このスタンスが最後まで貫き通されているから,立派なもんだ。