Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

藤岡雅『保身:積水ハウス、クーデターの深層』KADOKAWA

丹念に取材し,熱く綴られている。それだけに,読めば読むほど不可解さが募る。たしかに「保身」という言葉が,この事件の要約としてはいちばんいいのかもしれない。

高齢と権限の集中が,彼(注:和田)を失脚させた理由ではないだろう。実力で勝負することができない人間たちにとって,彼はもともと疎ましい存在だったのだ。ストレートな物言いと,狡猾さのなさは,それゆえに,狡猾な人間を悩ませた。実績を残せず,社内政治に逃げ込んだ者たちは,彼の行動と言葉に,プライドを大いに傷つけられる。保身にまみれた会長を生んでしまったのは,他ならぬ実力会長だったのだ。

520.67

保身 = SAVING HIS NECK : 積水ハウス、クーデターの深層 (KADOKAWA): 2021|書誌詳細|国立国会図書館サーチ