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ランダムな読書歴に成り果てた

日経コンピュータ『システム障害はなぜ起きたか:みずほの教訓』日経BP社

最近またみずほでシステム障害障害*1が起きているので,読んでみたこの本.

システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓

システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓

  • 発売日: 2002/06/03
  • メディア: 単行本

「みずほフィナンシャルグループ」が2002年4月に引き起こした情報システム障害の真の原因を探り、こうしたシステム障害を繰り返さないための教訓を引き出す。

ということなんだが,その「教訓」はどうも活かされていないらしい.

もうちょっと重厚な記述を期待していたんだけど,「雑誌記事のまとめ」の粋を出ていないのが残念といえば残念.

この本の主張はシンプルで,

情報システムの障害や,開発におけるトラブルは今に始まったことではない.どれほど情報技術(IT)が進歩しても,システムをめぐる失敗がなくなることはない.なぜなら,情報システムの開発や運用のカギを握るのは,技術ではなくて,人だからである.

ということで,みずほの場合はその「人」の問題が顕著だったということだけど,みずほに限らず日本全体の問題としては

老朽化と肥大化がここへ来て,深刻になった原因は,企業の情報システムの規模と複雑さと範囲が,その企業が自分で管理できる限界を超えつつあることだ.しかも,複雑なシステムの全体像を見わたせる人材が減少しつつある.これが一連のシステム障害の底流にある大問題である.

とのこと.(それにしてもこの句読点の打ち方,素人っぽいなぁ)

みずほの話に戻ると,

三行のこの報告書(ATカーニーが作った「第一勧銀と富士銀のシステムに有意差はない」という趣旨のもの)作成料として四千万円を予定していたが,割り勘にできないという理由で,三千九百万円に値切った.世界最大の銀行の命運を託す勘定系システムの統合方針を決めるにしては,ずいぶんと安い投資であった.もっとも,この報告書は,延々と展開された議論を手際よくまとめ,「さしたる優位差はなし」と書いただけだったから,極めて高額だったとも言える.

ということで,コントみたいだ.

(にしてもこの引用文中に「有意差」と「優位差」が混在してて,こういうのがこの本の書籍としての素人っぽさを象徴している)

338.5