Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

朝日新聞取材班『秘録 退位改元:官邸VS.宮内庁の攻防1000日』朝日新聞出版

「退位」と「改元」をめぐる秘話/裏話/攻防/朝日新聞取材班の自分語り.

退位については,当時の天皇陛下,現在の上皇陛下の「ただ『象徴』としてあるだけでなく,『象徴としての役割を果たす』」という象徴天皇論が印象的.それに立脚して,「だから高齢だからその務めを果たすことができない,なので退位」というロジックだったんだなというのを,改めて思い知らされた.一方で保守の人たちが「天皇ってのはただ祈ってるだけでいいんだ」みたいなことを言っているのがなんとも(逆の意味で)印象的なんだけど.

改元については,考案者を探る取材班の「頑張りましたよ」アピールと,事前公表に関する保守派の横槍,法律論的な話.ここでも保守派の主張(元号は新しい天皇のものであって,その新天皇の御名御璽をもらうのが望ましい,みたいな)は現実(あるいは大部分の国民の意識)との乖離が甚だしくて,保守の存在意義って何なんですか,という印象.

ということで,多方面から「退位(と)改元」をめぐる話があって面白かったんだけど,最後の最後で朝日新聞取材班のエゴというか自惚れというか自分語りというか,「俺たち頑張ったんだよ」「特ダネは最近卑下されるけどそれってジャーナリズムの本質なんすよ」みたいなのを読まされたのは萎えたなぁ....

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