「翻訳論」というよりは「翻訳をすることから見えてくる日本語論」で(だからNDCも810〔日本語〕になってる),そういう意味では書名通りなんだけど,ちょっと肩透かしをくらった感覚.著者独自の考え方(口蓋音と鼻音との心理的距離感の違いとか,ウチ・ソト概念)とかが強く出すぎていて,それもちょっと興醒め.
文学作品を多く例にとるのは,それが「(翻訳することで)失われるもの,残るもの」というテーマにはいちばん合致するからなんだろうけど,なんていうか,自分が読みたかったのはこれじゃないというか...(まぁだったらマーク・ピーターセンの本を繰り返し読んどけよって話になるんだけどさ).
810.4