本書を開いて初めて分かったけれど,これはトクヴィルの原書の一部――「序」および第二部の第六章から第九章まで――を訳したにすぎないんだな。全訳は岩波文庫から出ているようだ。
そして,訳者でもない第三者による解説のようなものが冒頭にあり,それが異様に長い(トクヴィルの『デモクラシー』を拾い読みしてきた,とその著者はいうけれど)。その解説文の著者は,「トクヴィルの思想とその現代的意味について知りたくなった読者には,宇野重規『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ 二〇〇七年)を一読することをお薦めする」と述べている。
312.53