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ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

忽那賢志『専門医が教える新型コロナ・感染症の本当の話』幻冬舎(幻冬舎新書)

「ぼくのかんがえた,さいきょうのコロナたいさく」*1なんかではなくて,「国立国際医療研究センター国際感染症センター国際感染症対策室医長」という,本当の専門家が書いた本なんである.「ぼくのかんがえた」の方が中公新書でこっちが幻冬舎新書,しかも「専門家が教える」なんてタイトルがさらにまがい物っぽさに拍車をかけているのが非常にもったいないのだけど....

タイトルが「新型コロナ・感染症の」となっているように,新型コロナだけではなく感染症についても一般的な記述が豊富なのが特徴.著者が言うには,人々のメディアリテラシー不十分なだけでなく「感染症リテラシー」も不十分なせいで,新型コロナ関連で大きな混乱が生じてるとのこと.

その著者の見立てでは,新型コロナというのは

  • 致死率はいまのところ世界では2パーセント程度で,エボラ出血熱と比べれば圧倒的に低いが,インフルエンザに比べれば圧倒的に高い.
  • 感染力も麻疹よりはかなり低いが,放っておけるものでもない.とはいえ「ワクチンができるまでは,経済活動を止めなければ!」というほど高くもない.
  • 社会としての対応が難しい,何ともイヤなポジションにあるというのが,新型コロナウイルスから受ける正直な印象.

とのこと.さらに新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと違った感染性があり,それは「感染者が発症する前後に他人にうつりやすい(インフルエンザは発症後にうつりやすい)」ということ.これがまた,新型コロナをやっかいなものにしている原因のひとつ.

しかし「感染症には,ある意味で安心な面があるとも言えなくも」なくて,それは「病気の『原因』がはっきりしていること」だと言う.確かにね.ということで「手洗いとマスクをしっかりしていれば」っていうことになるんだけど,そのマスクについては

  • マスクを着用すべきなのは,換気が不十分になりやすい屋内や混雑した交通機関内
  • 屋外(人との距離が十分に〈2メートル程度〉保てる場合)でのマスク着用は推奨されていない
  • 特に夏場は,マスク着用が熱中症のリスクを高めるので注意が必要

とのこと.

余談として,抗インフルエンザ薬について.「その効き目は限定的で,重症化を抑える効果があるかどうかはまだ不明.明らかになっているのは,その効果は,患者本人の免疫による自己治癒と比べて,インフルエンザの症状の持続期間が半日から1日ほど短くなることだけ」.

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