Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

ロジャー・ペンローズ『心は量子で語れるか:21世紀物理の進むべき道をさぐる』講談社(ブルーバックス)

天才ペンローズによる「ぼくのかんがえた,さいきょうのこころのりろん」ってところなんだけど,数学者ならではの「あるものとあるものとの関係に着目する」のをいいことに,「心の理論」に量子力学とかを持ち込んでる,という印象を強く受ける.

いや,そもそもペンローズって「数学者」だったんですねっていうのが驚きなんだけど,

どうして私は,その本当の意味を知りもしない対象について語ろうとしているのか? たぶんそれは私が数学者だからであり,数学者というものは,そうしたことをあまり気にしない人種である.数学者は大勝間の”関係”についてなにか言えるならば,自分たちが語っている対象の正確な定義は必要としない.

とか言ってて,それって傲慢だし乱暴だよなぁ,と思う.

そして,ブルーバックスだからといって初学者でもすらすら読めるかというとそんなこともなくて,相対性理論と量子力学,そしてペンローズの過去の書を読んでないと,この本で書かれている内容(この本が描こうとしているビッグピクチャー)を理解できないんじゃないか?

ペンローズの主張に対するスティーブン・ホーキングの批判が完結にまとまっていて,それは

なぜ私がペンローズの三つの主張に対して異議を唱えたかを述べた.その三つの主張とは,波動関数の客観的収縮が存在するということ,波動関数の客観的収縮が脳の働きにおいて何らかの役割を果たすということ.波動関数の客観的収縮が意識を説明するのに必要であるということであった.

というもの.

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