なんでこの本を手に取ったのかまったく覚えてないんだけど……
交易がいかにグローバル化を推し進めてきたか、さらに不可避的に付随する文化的摩擦がどのような争いを引き起こしてきたかを歴史的視点から説明し、新しい交易ルートが支配構造を変化させてきたことを明らかにする。
いや,確かに完成度の高い本だし,訳者あとがきで「著者のウィリアム・バーンスタインは〔中略〕歴史の分析とストーリーテリングの巧みさには定評があり,本書でも壮大な交易の歴史を語ってくれる」というのもその通りなんだけど,個人的にはその「壮大さ」と「ストーリーテリング」が合わさったこの書き方が肌に合わなかった。
とはいえ興味深い(豆知識的に)箇所も多々あり,たとえば「世界的な大河の中でナイル川は唯一,北へ流れているうえ,一年じゅう北風が吹きつける。この二つの条件のおかげで,船は北へ向かって流されるいっぽう,南へ向かって上流に帆走できるのだ」とか,「世界の宗教のなかで唯一,イスラム教は承認によって創始された」とか,「ラクダは一度に一九〇リットルもの水を飲むことで,数日間から,例外的な環境では数週間にわたって水なしで過ごせる」とか,「(イスラム教は)同宗信徒からの盗みを禁じるいっぽうで異教徒からは禁じていなかった」とかとか。
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