読書猿の本もこれで3冊目だが,あいかわらず「知識のひけらかし」というか「技法の羅列」としか感じられないほど,自分には刺さらない。おまけに今度は「無知くんと親父さん」との対話篇も各章の冒頭にあって,自分は何を読まされているんだろうという気になる。
そもそもこの本は誰に向けたものなのだろう? 「独学者とは,学ぶ機会も条件も与えられないうちに,自ら学びの中に飛び込む人である」「学ぶことで人は変わる。変わることで人は学ぶ」「本書は独学のための道具箱である」などと書かれているけれど,どうも僕には,学ぶ(ための方法論)ということが目的化していて,学んだ結果何をしたいのか(どんなアウトプットをしたいのか)というところが見えてこないんだな。
「大全」のタイトルはトマス・アクィナスの『神学大全』のように,当該分野の知識全体を注釈し,総合的に組織した上で,初学者が学ぶことができる書物となることを願ってつけたもの。
とあって,まぁこれだけのものを著すのは素直に関心するものの,だから何なんだっていう…。第4部でケーススタディーのようなものが挙げられていて,国語や外国語や数学の学び方のようなものが書かれているけれど,ここに書かれている程度の初学者が,本当にこの分厚い本を手にし,これを参考にしながら学ぶものなのか……?
ただまぁきっと,僕の根本的な疑問はこの著者である読書猿氏に向かっているものであって,つまり「それほど本を読んで,何を目指しているの?」っていうことなんだよな。
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独学大全 = Self-study ENCYCLOPEDIA : 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 (ダイヤモンド社): 2020|書誌詳細|国立国会図書館サーチ