Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

森護『紋章学辞典』大修館書店

紋章学辞典

紋章学辞典

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図版が豊富だった「事典」*1 とは対照的に,こちらは本物の「辞典」。なので通読するものではないが,冒頭の「紋章概論」はとても分かりやすく,初学者の一読に値する。

紋章の組み合わせ(marshalling)やディファレンシング(differencing)についても丁寧に解説されており,これぞ自分が知りたかったことだ。本書の大半がモノクロ印刷なのが非常に惜しいが,辞典という性質上しょうがないか。

わが国で西洋紋章学を説いた本が上梓されたのは,1979年,筆者が執筆した『ヨーロッパの紋章』(三省堂書店)が最初であり,西洋の紋章とは何かという紋章学への道を初めて開くことになった。その後,『西洋の紋章とデザイン』(拙著,ダヴィッド社)や『西洋紋章夜話』(拙著,大修館書店)などが出版され,西洋の紋章への関心が高まったことは大いに喜びとしているところである

ということで,紋章を知るには,この著者の本を掘っていけばよさそうだ。しかし,

その内容は奥深い紋章学から見て,ほんの入り口を説いた程度でしかない。これをさらに奥深く追求するとなれば,どうしても紋章学文献の原典に当たるしか道がないことになり,そこに控えているのが紋章学専門用語の難関である。

「こうした背景から,今回紋章学専門用語辞典の執筆を思い立った」とのこと。

288.6

紋章学辞典 (大修館書店): 1998|書誌詳細|国立国会図書館サーチ