明らかにマックス・ヴェーバーを意識しただろう大業なサブタイトルとは裏腹に,本書の大部分は大栗先生の自分語り――子供のころから今に至るまで何を見て何を読んで何を考えてどう行動して誰と接したか――である。相変わらずの優しい口調,人柄の良さが滲み出る文章であり,しかしそこで語られる先生の成果はとてつもなく大きい。
しかしあれですね,これを読むと,自分が科学者に慣れなかった理由がよく分かるわ。素直さがない,探究心がない,根気がない,社交性がない,謙虚さがない……。
本書の中で森重文先生が数回登場するんだけど,森先生にもこういう本を書いていただきたいわ。
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