包括的でコンパクト。冷めた視線で宗教を熱く見る。まさにこんな本を読みたかった,という感じ。
本書が想定している読者は,宗教に関心はあるのだが,別に信じたいわけではない方々である。外国人と接する機会があり,その国の宗教について基本的知識が欲しいと思っている人は多いはずだ。あるいは日本文化を紹介するにあたって,我が国の宗教について基礎的なこともわかっていないようでは恥ずかしい,と考えている人も多いだろう。〔中略〕本書は「教養としての宗教」ガイドである。宗教を信じる必要はないが,その歴史や世界観についての大雑把な知識はもっていたほうがいい。そういう趣旨で書いた本だ。
随所で面白かったけど,特に面白かったのは「出エジプト記」のとこ。旧約聖書(ユダヤ教典)の中の二番目の書「出エジプト記」を,こんなふうに解説しているところ:
要するに,ユダヤ民族が搾取の構造から抜け出して,新しい共同体をつくったということである。搾取から抜け出して,新たな共同体をつくる。これは現代人の心にも訴える,非常に感動的なモチーフだ。
こんなふうに,ざっくりわかりやすく,軽いユーモアを交えながら語ってくれる。これが本書の特徴だ。
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