本書は高校生を対象にした公開講座の内容をもとにしているだけに,数学的な内容は初等幾何・初等整数論に留まっており,そういう意味では物足りなさがある。意欲的な高校生が大学入試に向けてしっかりとした記述の回答をできるようになりたい場合などに,とても参考になるというか。
だけど一般的な〈問題の解き方〉として見ると応用方法が考えられるし,だからこそ多くの人が数学を学ぶ意味があるのだろうということを,改めて思った。
著者によると,数学の進め方は「自分の数学的な興味や関心を,具体的な問題の形にして,それに対するよい答えを見つけ,その正しさを他者とわかちあう」と要約される。ここで,
はっきりした問題とは,ほかの人が内容を正しく理解できるように文章として書き下された問題のことである。
そして問題を書き下すときのポイントとして,
- 数学用語を正確に使った文章で書く。
- 数学記号と表記法を正しく用いた数式を使う。
- 問題の主要部分を明確に表現する。
としている。
さらにアイデアを得るための方法として,
- 問題の設定からわかることをとらえる。
- ゴールから逆にたどる。
- 条件を使って絞り込む。
- 具体例を観察して規則性を見つける。
- 少し簡単にした問題を考える。
と述べている。
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定理のつくりかた = How to Make a Theorem (森北出版): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ