Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

戸谷友則『爆発する宇宙:138億年の宇宙進化』講談社(ブルーバックス)

『ホーキング,宇宙を語る』より,こっちの方が全然面白いんだけど…。

この著者(and/or編集者),語りや構成が上手くて,岡本太郎の「芸術は爆発だ」をツカミにして「爆発」をテーマに話を展開させていくんだけど,身近なスケールからどんどん天文学的なスケールの話に持っていく,その流れが秀逸。

それにしても,こんな天文学的なスケールの話をしているのに(しているからこそ)量子力学が不可欠で,そしてその量子力学がしっかりと天文学的な現象の説明になっているというのは,とても面白いなぁ。

豆知識その1。

すべての原子核の中でもっとも結合が強いのは,我々に身近な元素でもある鉄(Fe)である。原子核の大きさは,中に含まれる陽子と中性子の総数で決まる。56個(陽子26個,中性子30個)が結合した鉄が最大の結合エネルギーを誇り,それより小さな原子核,あるいは大きな原子核は鉄に比べて結合が弱い。これが,核融合と核分裂という原子核反応の二つのトレンドが生じる所以である。

豆知識その2。

光が太陽の表面から飛び出したときには,その光エネルギーが太陽の中心で生み出されてから実に百万年といったスケールの時間が経っている。ちなみに,信濃川の源流を出発した水が日本海に流れ込むまでに約5日だそうだ。

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