Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

柴田久『土木の仕事ガイドブック:日常をつくるプロフェッショナル』学芸出版社

自分と「土木」との関わりといえば,1)いまやってる仕事の隣接領域であると同時に,2)抽象的な数字を扱うだけの自分の仕事とは対照的な領域であり,3)在宅勤務している自宅のすぐ隣で大規模な建設工事が複数進行中であるという意味で身近なものであり,4)昔の恋人が「建設コンサルタント会社で働いて」いた割に,建設コンサルタント会社が何をするところなのか全く分からなかった,という感じ。

図書館の新刊コーナーでたまたま目にしたこの本は,土木にまつわるさまざまな分野で実際に働く人たちのインタビュー(をもとにした文章)で構成されているとあって,自分みたいな興味本位で「土木」の表面に触れたい人間にとってはちょうどいいし,登場する19分野の中で最初に国家と地方の公務員が登場するのも新鮮な驚きが(という程度に門外漢である)。

編者いわく,

本書は…特にこれから土木を学ぼうと思う,または土木業界に就職を考えている学生諸君,仕事に就き始めたばかりで今後のキャリア形成に悩む若手職員や,近年注目を集める土木マニア他,一般の方々にも,現場の生の声を届け,土木の業界や仕事の本質について知っていただきたい。

とのこと。

「(地方)公務員は子育て女性にも働きやすい環境」というのが何度も出てきて,まぁそうなんだろうけど,ここに登場する人たちの1日のスケジュールを眺めると,保育園のお迎えのためにフレックス制度を利用しているのはやっぱり女性だけで,男性たちは総じて早出・残業なんだよねぇ(「保育園への送りは夫が担当」という女性がひとり,あと「息子を幼稚園バス停まで見送り」という男性がひとり)。

ひとりあたり2見開き計4ページで構成されていて,文章はコンパクトにまとまっていて読みやすいんだけど,それぞれの人の紹介文が4ページ目に登場するのが不満。主語が「私」で文章が展開されていくんだから,紹介文は最初に置くべきだと思うんだよね。

そういえば「建設コンサルタント」とは,

土木が行う社会基盤創造事業において,国や自治体の事業執行を支援する仕事である。そのため高度な知識やマネジメント能力,技術提案能力などが求められ,専門家集団として,また公務員の相談役(パートナー)としての活躍が期待される。

そして「お互いの分野への印象」ということで,国家公務員からみた「建設コンサルタント」のイメージには「技術力に加えセンスが必要なお仕事」「専門知識の深さを尊敬」「コミュニケーション・プレゼン能力,資格取得など,見習うことが多い」「彼らの設計を国をつくっていると言っても過言ではない」などなど。

510.9