Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

鈴木清和『確実に速くなるランニングの科学』池田書店

この本が優れているなと思ったのは「Part 7 どんなに走っても故障しない走り方を身に付ける」のところで,要するにランナーによくある故障(ヒザの外側が痛むとか腰が痛む)とかの原因と,それらに対する対策を記してある。

たとえば僕もよく悩まされた「スネが痛む」というのは「シンスプリント」と呼ばれる障害の典型的な症状で,「着地したときに下腿が内旋している」のが原因で,「実際は骨ではなく骨の表面を包んでいる骨膜が痛んでいる」のだけど,着地のときに「上からと下からの力によって,骨の下から3分の1あたりに,大きなせん断のストレスが生じてしまう」んだと。自分は偏平足だからスネが痛むんだとばかり思っていたけど,こうやって理屈が分かると少し安心する。

全体的には少し「理論」が多くて,実践的なトレーニングのしかたみたいなのは少なかったかなという印象だけど,でも速く走るためには「VO2max(最大酸素摂取量)」と「AT(無酸素性代謝閾値」を高める必要があり,そのためのインターバル走だったりペース走だったりする,というふうに,シンプルかつロジカルに記述されている。

体のキネティックチェーンを活かすように自然に走れば怪我はしない,というのはそうなのかもしれないけど,一方で「自分の体に合った走法を見つけよう」ということで,胴体と脚の長さとかから体を3つのタイプに分けて,「ツイスト走法」「スイング走法」「ピストン走法」なるものを指南している。これが一般的・科学的な分類/指導法なのかは分からない。

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確実に速くなるランニングの科学 (池田書店): 2015|書誌詳細|国立国会図書館サーチ