セミコロンっていうテーマは面白いんだけど……歴史とかエッセイ風の文章に気を取られる。おれはもう少し,スタイルブック風なものを読みたかった;本書の後半は文章の名手たちの実例が載っているとはいえ。
はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎
セミコロンはいわばひとつの場であり,私たちが言語,階級,教育に関して抱く恐れや望みがそこに詰め込まれている。ささやかな記号だけれど,そのいたずらっぽいインクの滴には壮大な思いが凝縮されているのだ。
句読点は文の論理構造を明示するだけでなく,それを超えた意味合いを生み出すこともできる。すぐれた句読点には音楽を奏でたり,絵を描いたり,感情を喚起したりする力があるのだ。
1章 音楽を奏でるように
1494年,イタリアのベネチアでセミコロンは生まれた。コンマとコロンの中間はどの休止(ポーズ)を示そうとした記号であり,その血筋は,コンマ[,]こコロン[:]が合わさったその形に表れている。
2章 科学的規則を目指して
アメリカでもイギリスでも,19世紀というのは公教育が加速度的に拡大した時期で,教材を売ってぼろ儲けする絶好の機会だったのだ。
初期の文法家は規則による明晰性を追求していたが,結果的に混乱を生み,その巻き添えを食ったのぁセミコロンだったのだ。
3章 ファッションアイテムからトラブルメーカーへ
今日の表記ガイドにはどれも,主節と従属節の接続にセミコロンを使わないことを勧めている。つまり,セミコロンが結ぶ前半と後半は文法的に自立し,やろうと思えばどちらも完全な文にできることが求められる。ところが19世紀当時の文法家の大多数は,主節と従属節をセミコロンでつないでもまったく構わないと考えていた。
4章 ゆるい条文と自制心
5章 解釈に伴う偏見と慈悲
6章 ルールを岩に刻む
7章 セミコロンの達人たち
8章 切なる訴え,単なる気取り
おわりに ルール違反?
セミコロン : かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 | NDLサーチ | 国立国会図書館
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