日本アクチュアリー会の「アクチュアリージャーナル 第86号」に掲載されていた,昨年7月の例会の報告.内容は,会員専用サイト「ライブラリー > アクチュアリージャーナル > 第86号(2013年)」で見られる.
要約
- 発表者のデイビッド・ベッチャー氏は、RGA インターナショナル・コーポレーションのグローバル・ファイナンシャル・ソリューション担当のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼、最高執行責任者.「同部門のプライシング、リスク管理、商品開発、業務管理を管轄され,アクチュアリーとして,保険業界に 30 年以上の経験を有し,生命保険業界の財務ニーズに関してグローバルで豊富な専門知識を持たれております」とのこと.
- 内容は,以下の通り:
- ERMの概要
- ティリングハスト社ERM調査の要点
- CROカウンシルおよびCROフォーラム
- ComFrame - CROのERM調査
- RGAのERMプログラム概要
- 例会当日は,その場でアンケートの回答・集計できる器械が持ち込まれ,発表の内容(おもに米国でのERMの状況に関する統計)とオーディエンスの回答が都度都度比較されるという,インタラクションが行なわれた模様.
- 「ERMの概要」では,ERMの定義,リスク管理のフレームワーク,リスク許容度・リスク限度額・リスク選好,ERMプロセス,といった概念の整理.
- 「ティリングハスト社ERM調査の要点」での質問は,以下の通り:
- リスク選好あるいはリスク許容度を規定する文章を文書化するプランがありますか?
- 「はい」の場合,リスクの種類は?
- 「いいえ」の場合,いつまでに策定する予定か?
- 「CROカウンシルおよびCROフォーラム ComFrame - ERM Survey of CROs」での質問と回答は,以下の通り:
- 貴社のリスク管理体制は?
- 独立しているが,リスク管理部門に正式なリポーティングラインがある
- 独立しているが,リスク管理部門に非正式にリポーティングしている
- 事業部門から独立している
- 分散化しているが事業部門に根付いている
- 一元化しているが,事業部門にも根付いている
- ERMに関連する事項はどのように決定されますか?
- グループ内で,CROとCFOの役割はどういう関係にありますか?
- グループ内で資本管理の責任をもつのは?
- CRO
- CFO
- 両方
- グループ全体のリスク管理評価において,各国のリスク管理部門が果たす役割は?
- グループのリスク部門のためにリポートを策定する
- グループのリスク部門と事業部門によるリスクに関する討議を促進する役割
- 事業部門のためにリポートを策定する
- 事業のリスク管理実務を監督する
- グループの役員のためにリポートを策定する
- 事業のリスク管理に責任をもつ
- グループのリスクプロファイルの評かはどのように行いますか?
- グループレベル
- 事業会社レベル
- グループおよび事業会社の組み合わせ
- グループおよび事業会社それぞれ別々に
- グループの資本管理は連結ベースで行いますか? それとも,事業会社,サブグループ,または事業部門がそれぞれ個別に資本を管理できますか?
- グループレベルでは何に基づいて資本を管理していますか?
- 社内の期待値
- 格付機関の期待値
- 監督当局の期待値
- グループ全体のリスクの見方はどのように得られるか?
- 一元化されたモデル+共通のアサンプション・シナリオ・ストレス
- 一元化されたモデル+アサンプション・シナリオ・ストレスは共通ではない
- 分散化されたモデル+共通のアサンプション・シナリオ・ストレス
- 分散化されたモデル+アサンプション・シナリオ・ストレスは共通ではない
- 一元化されたモデルと分散化されたモデルの組み合わせ+共通のアサンプション・シナリオ・ストレス
- 一元化されたモデルと分散化されたモデルの組み合わせ+アサンプション・シナリオ・ストレスは共通ではない
- グループのリスクプロファイルをどのように評価しますか?
- 分散・共分散フォーミュラおよびシミュレーション
- ストレスを定義づけたシナリオ
- リスクの依存関係をとらえるシミュレーションに基づくアプローチ
- リスク全体で合算
- 商品全体で合算
- 相関マトリクスを用いた分散・共分散フォーミュラ
- リスク資本実績の単純加算
- ComFrame(共通の枠組み)のドラフトに基づくグループの資本評価に対するシナリオベースのアプローチに関して,内部モデルをどのように用いますか?
- 監督当局はどのようにグループ全体の資本評価を行うべきか?
- 連結ベース
- 事業会社ベース
- 両方
- グループがリスクの影響度を示す他の方法は?
- 提案中のComFrameのグループ資本評価プロセスでは「リスク感応的な」バランスシートに重点が置かれているが,これは大きな懸念材料になるか?
- 「RGAのERMプログラム概要」では,RGAにおけるERMの目標および指針,ERMのフレームワーク,ERMの歴史,推進体制,委員会体制について説明がなされた.