Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

川田太三『スゴい!ゴルフコース品定め。:スコアじゃなく、コースに挑もうじゃないか』ゴルフダイジェスト社(CHOICE選書)

雑誌連載を再編しただけあって,記述が散発的で表層的。似たような内容が複数個所に出てきたりして,盛り下がる。パー3ホールを「ショート(ホール)」と呼んでいるのはどうかと思うが,マサ・ニシジマのようにそこにこだわらないのが川田の人柄――あるいは国内での設計をこなしたことからくる現実主義――か。P.83では「ティリング・ハースト」という誤字もあり(A. W. Tillinghastだから中黒は入らない),詰めが甘い。

本書内で面白いと思った箇所はいずれも川田と他の誰かとの対談の中にある,というのもどうかと思うが,たとえばベン・クレンショウはリビエラCCのグリーンがナンバーワンだと思っている――どちらに曲がるかわからないから――とか,中部銀次郎はいろいろなコースへの対応について「まっすぐ飛ばすことを訓練すればそれでいいと思っている」とか,あるいは中部はセントアンドリュースをあまり評価していなくて,あのコースが荒川べりか江戸川べりにあったら会員権は「40万もしないよ(笑)」と言い放っているとか,さらに中部は「ティーインググラウンドの標識に400ヤードですよって書いてあれば,あとは何もなくてもいいと思う」とか……。うーむ,中部銀次郎の本を読んだ方がいいな。

そもそも必然的に海外の固有名詞が数多く登場するこの種の本が縦書きなのってどうよと思う。それと川田の知識は米国に偏っていて,UK&アイルランドのコースへの言及が少ないのも残念。

783.8

スゴい!ゴルフコース品定め。 : スコアじゃなく、コースに挑もうじゃないか (ゴルフダイジェスト社): 2021|書誌詳細|国立国会図書館サーチ